あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
気分がのらない時向き編 
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あっぱれ長屋のプラス話 第11号
〜思考停止？〜
2003.12.4
くるり
今日は、前回に引き続き、
浪人の妻、おとくさんです。
とく
こんにちは。
この間は悪かったですわね。
急いでいて。
くるり
それで、お義母上はみえましたか。
とく
ええ、勘が当たりました。
でも、この前お話したように、
泣きっ面では蜂が来てしまいますから、
笑う門には福来るの精神でお迎えしました。
くるり
顔で笑って心で泣いてじゃないの？
とく
とにかく何でも笑ってると、心が楽しくなってくるのよ。
くるり
そんなもんですかね。
ところで、この間の話の続きだけど、
今日は暗い気持ちを切り替える方法について、教えてくれるんだよね。
とく
そうです。
人が暗くなる原因って、過ぎ去ったこととか、変えようもないこととか、
そういう考えてもしょーもないことにとらわれてる時が多いの。
でも、それをくよくよ、ぐだぐだ悩んでも意味ないでしょ。
それを、頭に入れておいて。
くるり
はい、入れました。
でも、それだけでは切り替えられるようにならないよ。
とく
もちろんそれだけでは、
ふと気がつくと、またしょーもないことを、考えてるでしょう。
そこで、そういう生産性、発展性のない考えが堂々めぐりをはじめたら、
断ち切る儀式を作るの。
いろは
儀式ときたか。
とく
儀式と言っても、そんな大げさでなくていいのよ。
私の場合は、一言「思考停止！」って言って、
頭を振って、それをはじき飛ばすのです。
くるり
良からぬこと考えたときなんかに、頭振るのはよくやるなあ。
とく
まあ、そんなにしょっちゅう、良からぬこと考えているのですか？
くるり
いや、そういうわけでは…。
でも、次回に引っ張ったわりに、それだけ？
そりゃないでしょ。
とく
そういう単純な方がいいのよ。
言葉は何でもいいけど、一つの言葉に決めてね。
くるり
つまり、条件反射状態を作るのね。
でも、それだけじゃ、またすぐわいてくるよ。
心が聞いてよこの思いって訴えてくるもん。
そこで、無理やり押し込めちゃうのもよくないんじゃない？
とく
そういう時は、時間を決めて聞いてやりなさい。
そしてその時間を、だんだん短くしていく。
そして、決めた時間が来たら、こう言うの。
「ぐだぐだ抜かすな！それが、いったいどうしたんでい！」
くるり
あー、びっくりした。
もっとやさしい言葉にしてほしいな。
「残念だったよね。でも、もう考えても意味ないからやめにしようね。」
とか。
とく
あら、ごめんなさい。
厳しくても優しくても、どっちでもいいのよ。
ただ、くるりさんの顔を見てたら、ついそう言いたくなっちゃって。
くるり
どういう顔だって言いたいんだ？
とく
そう、もう一つはその顔なのよ。
言葉だけでは断ち切れないようなら、笑顔で考えるの。
後悔、絶望、恨みなどの感情を反復している時の顔って
暗い怖い醜いの三拍子。
そんな顔でいたら、ますます抜け出せない。
そこで笑顔を作ってみると、自分の顔がどれだけこわばっていたかが
わかるわよ。
最初にも言ったけど、笑顔でいると、感情の方が顔に合わせてくるから、
考えててもしょーもないことだって思えてくるの。
くるり
ニコニコなんであの時素直になれなかったんだろうニコニコ
ニコニコなんであそこでドジしたんだろうニコニコ
ニコニコなんで私は八頭身じゃないんだろうニコニコ
ニコニコまあ、しょーがないかあニコニコ。
あはははははははははははは。
とく
別に、そこまでおかしくはならないけど。
くるり
思考を止めるということは、
仏教で言う、無我の境地になれということみたいなもんだね。
とく
あら、人間そんな簡単に無我の境地になんて到達できないわ。
何も考えない状態を続けるって、簡単そうでやってみると難しいのよ。
くるり
そりゃそうだね。
「何も考えてない」ってわかる自分を感じたら、もう無我じゃないもんね。
とく
そんな簡単に無我の境地に達することができるんなら、
厳しい修行をして会得するお坊様の立場ってもんがないではありませんか。
普通の人間ならいろいろ感じたり考えたりしてしまうのは、仕方のないこと。
だからこそ、無意味な思いに時間を割くのはもったいないの。
「無意味な思いを悲壮な顔で無理に封印する」と考えるのではなくて、
「笑顔で解き放つ」と考えればいいのよ。
そうすると、思いがけない幸せに変わって戻ってくるものです。
くるり
そうなんすか。
とく
そうなんす。
私だって、天之太助様が浪人となって、や、む、な、く、
義母上と別居する事態になりました。
くるり
それでは義母上の前で、いつも思考停止と笑顔を
やっていたわけですか。
とく
いーえ、義母上の前では嗜好を停止させるんです。
くるり
それはまた…
おみそれしました。
（発行マガジンより、本文のみ掲載しております。）
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