あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
迷ったり悩んでいる時向き編 
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あっぱれ長屋のプラス話 第９号
〜どっちを選ぶか迷ったときは〜
2003.11.6
くるり
みなさん、こんにちは！くるりです。
今日はあっぱれ長屋から、初の女性登場です。
これまで男ばかり続いてるから、やっぱり何かと忙しいと言っても、
女性たちにも登場してもらわなくてはね。
今日は、占い師どう造さんのおかみさんのおはぎさんです。
前回、前々回のミョーにできた子供の茶さじ郎のおっかさんです。
町内のことは、この人に聞けばすぐわかるってなもんで。
おはぎ
あー、疲れた。
くるり
いきなり、疲れないでください。
おはぎ
いやー、２１世紀の噂話を聞きまわるのは楽しいんだけどさ、
次から次へと関心が変わっていくだろ。
追っつかないよ。
くるり
私も大変です。
おはぎ
人の噂も７５日っていうけど、
２１世紀は、半分くらいかもね。
くるり
いや、もっと短いかもしれない。
おはぎ
思えば私がどう造と一緒になったときも、噂がすごかったね。
くるり
えー、どんな噂が流れたの？
おはぎ
あのおはぎさんが、よりによってあのどう造と？
騙されてるんだよ、いやいや、できちゃった婚だよ、
そうでなければ、あの美人で知性的なおはぎさんが
あんな男と一緒になるわけないもの…。
くるり
それこそ半分くらいに聞いときましょか。
おはぎ
実はその頃、縁談が一つあったんだよ。
金持ちでさ、男前でさ、そりゃ、どう造より、ずうううううっと条件は
良かった。
その人が私の美貌にころりとまいって、嫁にくれって言ったの。
くるり
さらに、半分くらいに聞いときましょうか。
おはぎ
当然、周りはそっちを押す。
くるり
まっ、それが、定番の流れでしょうね。
おはぎ
でも、私は今ここで、他の人を選ぶほうが後悔するって思った。
どう造となら、もし、うまくいかなくても後悔しないって。
くるり
えーっ、そんな馴れ初めがあったなんて！
だって、おはぎさんの時代は、親の決めた相手に嫁がなきゃ
いけないんでしょ。
おはぎ
私ら庶民は、そんなうるさいこともなかったけど、
反対されたのは事実。
だから、勘当同然で家を出たんだよ。
くるり
わあ！わざわざ、けわしいほうの道を選んだんだね。
くるり
他の人からも散々、後悔するだの、馬鹿だの、おかちめんこだの、
おまえのかーさんでーべーそーだの、あっかんベーだのと言われたよ。
くるり
それは、別の恨みをかってたんでないの？
おはぎ
ところがだよ、
実はその男前、
飲む打つ買うの三拍子。
さらに、自分の遊びのためには湯水のように金を使うが、
人のための金にはどけち。
くるり
それで、読めた！
いいとこから嫁にもらうと贅沢されるけど、
貧乏暮らしが身についているおはぎさんなら、
お金をかけなくても、我慢させられるってわけだ。
おはぎ
違うって、私の美貌！
それでついに博打でお縄になっちまった。
くるり
その頃、おはぎさんはどう造さんと質素ながらも楽しく暮らしていたんだね。
めでたし、めでたし。
おはぎ
そしたらどうだい！
どう造と一緒になることを反対した人たちがだよ、
自分の言ったことをころりと忘れちまったように、
何にもなかったような顔している。
いい加減なもんだね。
でも考えてみたら、その色男と一緒になってたとして、
どうしてくれるって人のせいにしたところで、
過ぎ去った時の分、その人が責任をとれるわけじゃないし、
とる必要だってないんだ。
だってそうじゃないか。
最終的に決めたのは自分なんだから。
くるり
人間って、その場でつい楽な方の選択をしてしまうけど、
うまくいかなかった時に、どっちが後悔しないかどうかで選ぶべきなんだね。
でも、おはぎさんの場合は、自分の意思が正解だったからだけど、
もし間違った選択だったら、それみたことかって言われるじゃない。
おはぎ
言われたって自分が後悔してなきゃ、別にいいじゃないか。
どんな道も行ってみなきゃわからない。
その道が間違いだったにしても、
捨てたほうの道が、
正解になるわけでもない。
くるり
それはそうだね。
つい、あっちが正解だったかもと思ってしまうけど、
行ったら行ったで、間違いだったかもしれないもんね。
おはぎ
どんなことがあろうとも、自分の行った道が正解なんだよ。
そこから学ぶべきことがあるから、その道を選ぶんだ。
だから、人の意見に惑わされてはいけない。
でも、人の意見の中にも貴重で重要なことは、たくさんある。
だから人の意見にもきちんと耳を傾けてみた上で、
最終的に自分で選ぶんだよ。
くるり
結果を出せば、反対意見はなかったことになってしまうんだから、
自分が結果を出す自信があれば、
人にあれこれ言われても
気にするなってことでもあるね。
おはぎ
自信がないときほど、人の意見が気になってしまうもんだ。
人に言われたからそうするかって、逃げ道作って対処してたんでは
その後の取り組み方だって違ってくる。
たとえ人の意見に従うとしても、それは自分が選択したんだからね。
責任は自分にあるんだよ。
くるり
たくましい！
じゃあ、もしどう造さんが暴君だったら、
責任とってそんな夫につかえてったの？
おはぎ
いいや、責任とるなら、きっぱり別れて、別の幸せを探す。
おはぎの辞書に後悔という文字はない！
暴君に振りまわされるなんて、まっぴらごめんだ。
そんな亭主だったら、こっちが振りまわしてやるよ。
くるり
暴君はおはぎさんのほうだったか…。
（発行マガジンより、若干手直しして本文のみ掲載しております。）
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