あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
憂鬱で毎日に嫌気がさした時向き編 
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あっぱれ長屋のプラス話 第85号
〜 心をこめるから充実する 〜
2007. 6. 21
くるり
みなさん、こんにちは。
今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客様は、
ご隠居大家のおかみさん、おふくさんです。
ふく
こんにち…、
あれまあ、くるり、
この玄関の汚いこと。
いつ、掃いたんだろうね。
くるり
いきなり、意地悪なお姑さんみたいなこと、
言わないでほしい…。
これでもさっき、掃いたばかりなんだけど。
おふくさんがみえるのに、
不愉快な思いをさせてはいけないと、
忙しい時間を割いて、掃いたんだから。
ふく
なら、なんでこんなに細かい塵が、
残ってるんでしょうね。
くるり
ま、まあまあ、
そんな細かいことを言わないで…。
忙しいなか、掃いてくれた私の気持ちだけを、
受け取れば、ありがたいと思えるでしょ。
ふく
気持ちを受け取れったって、
その気持ちがないじゃないの。
くるり
そんなことないよ〜。
まるっきり掃かないよりは、
気持ちがあるじゃない。
ふく
確かに私に気を使ったところまでは、
気持ちがあったよ。
でも、掃いてる時のくるりには、
掃くという動作だけしかなかったんだよ。
その動作をしたことで、
納得、満足してしまったの。
だから、細かい塵までは、気がまわらない。
もし、本当にその時も心が入ってたら、
もっと、よく見て掃いてるはずだよ。
くるり
いや、それでは、あまりに、
くるりちゃんが可哀想…。
ふく
では、そのくるりちゃんに、
お聞きします。
もし、来るのが、
くるりの好きな人だったらどうでしょね？
それこそ、隅々まで、
念入りにきっちりとお掃除するんじゃないかい？
くるり
ぅおー！！！
ふく
変な雄叫びを、あげないでおくれ。
くるり
すみません。
もし、私の好きな人が、
ここに来てくれることになったらいいなあ、
と喜んでしまったもので。
ふく
あのね、そっちに反応するのではなくて、
別のところに、反応してほしいんだけど。
くるり
はいはい、もちろんわかってます。
確かにそのとおりです。
ふく
「はい」は一度でいいの。
江戸っ子は、そういう返事は嫌います。
それこそ、心が感じられない。
くるり
はい、すみません。
確かに、掃きながら、
あれもこれもしなきゃならないしって考えてたから、
掃いてるのが、形だけになってた。
おふくさんのことをきちんと意識し続けてたら、
もう少し身を入れて、掃くことができたと思う。
ふく
人が何かをする時には、
それをしたいからする、と思うことから始まるものと、
したくないけど、しなくてはというものがある。
どっちに、心があるかは一目瞭然。
どっちに身が入るかも、一目瞭然。
心があるとないとでは、
同じ動作でも結果は全然違ってくる。
くるり
そう言われると、
したくないけど、しなくては、
の方でした。
ふく
心があれば、どんな状況でも、
充実した心持で、気持ちよく全力を尽くせる。
反対に、心がなければ、
やりたくないのを、我慢してやった上に、
ろくな結果も出せない。
ただ、時間を無駄にしただけ。
これは、人生すべてにつながることだよ。
くるり
そんな、大げさなことになってくるとは。
ふく
やりたい心があれば、
どんなに大変でも、やってしまうでしょ。
そして、そういう時は、本人も充実している。
でも、やる気がないのに、
させられてると思っていれば、
身にもつかないし、
本人もおもしろくない気分。
この差は、
心が入ってるか、入ってないかの差だけ。
つまり、心を入れるということは、
人生が面白くなるための、
必要条件なんだよ。
くるり
毎日が充実してるか、つまらなく感じるかは、
自分が心を入れてるか、入れてないかの差ということか。
とはいうものの、
どうしても入らないからつまらない、
という場合が多いんだよね。
ふく
どうしても、心が入らないと思うなら、
その原因を探ってごらん。
くるり
私の例でいえば、
心の入らない掃除しかできないのは、
掃除が嫌いだからか、
掃除をゆっくりする時間がないからか、
人に対する配慮が欠けてるからか…。
ふく
その、いずれの理由にしても、
好きな人が来るとなれば、
すべて関係なくなって、
あっさり入ってしまうはず。
つまり、入らないのではなく、
入れられないだけ、
だから、まずひっかかる部分を探すこと。
もちろん、入れられないでも、入らないでもなく、
最初から入れようともしていないのは、
論外だけどね。
くるり
な、なんですか？
その目つきは…。
ふく
心の入らないものばかりの生活では、
人生が充実するわけない。
実際にそういう生活をしている人も、
たくさんいる。
でもね、そんな生活でも、
続けていられるのなら、
絶対に心を入れられる余地がある。
だって、本当にその生活に心の入れようがないなら、
どんな事情があっても、
そこから動いてしまうはず。
どうあっても、心が入らないものなら、
その状態ではいられないのが人間なんだよ。
くるり
いくら、掃除嫌いな人でも、
部屋が物やごみで埋もれてもしない、
という人はそうはいない。
掃除が好きでなくても、
簡単にでも掃除しなくては、と思えるなら、
掃除に心をこめられる余地があるということだね。
どうあっても、掃除が好きになれないなら、
たとえごみに埋もれても、
掃除しないことを選ぶ。
そこまで勇気ある選択さえできてしまうのが、
掃除に対して、心が本当に入らない状態だってことだ。
ふく
例としては、どうかと思う…。
とにかく、普段の動作の一つ一つに、
心をこめられる人は、
人生にも、心をこめられるものだよ。
そういう意味でも、
掃除一つにも心をこめることは大切なんだよ。
くるり
はい、わかりました。
ふく
しかしねえ、くるりの私への思いってのは、
こんなに塵が残る程度のものだってことなんだね。
くるり
い、いや、そんなことはないです！
おふくさん、誤解しないで！
ふく
本当に、そうかい？
くるり
もちろん！
本当のことを言うとね、
おふくさんなら、
どうせ細かい塵まで見えないだろうと思っただけなんだよ。
まさか、そんなに目がいいとは、
思ってなかったんだもん。
知ってたら、絶対に、もっとちゃんとやってた。
ふく
別の次元からも、話が必要だったようだね。
（発行マガジンより、本文のみ掲載しております。）
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