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                あっぱれ長屋のプラス話 第31号                
                      〜気になる気〜                 
                                  2004. 9. 3         



 
  くるり
   皆様、こんにちは。
   今回、あっぱれ長屋から遊びにきてくれたのは、
   浪人の親又天之太助さんです。
   はー。
  
  天之太助
   どうしたのだ、ため息なんかついて。
  
  くるり
   だって、頑張っても頑張っても、
   自分の思う方向と逆のほうに、
   ことが進んでいってしまうんだもん。
   はー。
  
  天之太助
   そのため息はよさぬか。
   なんだかこっちの運気まで下がりそうだ。
  
  くるり
   そういえば、天さんの名前は、「おや、また天の助け?」なんだね。
   おめでたくていいねー。
   私って運に見放されてるのかなあ。
   はー。
  
  天之太助
   そういうふうに暗く考えてたら、
   よけいツキに見放されちてしまうだろうが。
  
  くるり
   だけどさー。
   はー。
  
  天之太助
   本当にやりとげたいなら、
   どんな状況でも、
   熱意を忘れない、
   自分を信じる、
   あきらめない。
   このように考え続けることができたところで、
   はじめて成功するんだ。
   みんな、うまくいかないってとこで、
   あきらめてしまうからできなくなる。
  
  くるり 
   だけど、現実にはそうも言ってられないいろんな問題だって、
   いろいろあるんだよ。
   はー。
  
  天之太助
   だから、そのやる気をそぐような、ため息はよしてくれって。
   ため息つくたびに、運が逃げる。
   そうだ、今日は浪人天ちゃんの、ため息理論を教えよう。
  
  くるり
   いい年こいて、自分のことを「天ちゃん」とはいかがなものか。
  
  天之太助
   自分で言ってる分には、勝手でしょ!
  
  くるり
   そんなにムキになるのもいかがなものか。
  
  天之太助
   そっ、そうだな…。
   いいか、人間がため息つくときは、心の滅入ってるときだ。
  
  くるり
   そりゃ、幸せ気分のときにはため息は出ない。
  
  天之太助
   気分が滅入っているということはだな、
   つまりは、悪い気が充満している時だ。
   その悪い気が充満して溢れて出てくるのがため息だと思う。
  
  くるり
   それが天さんのため息の定義か。
  
  天之太助
   そう。だから、それはどんどん出したほうがいい。
  
  くるり
   さっきは、ため息つくなって、言ったじゃない。
  
  天之太助
   ため息として出したら、ここには悪い気が集まってるよという、
   呼び水になるだけ。
   だから、ため息つけばつくほど、運気がなくなるんだな。
  
  くるり
   じゃあ、どうやって出すの?
  
  天之太助
   元武士としての私が、精神統一でよくやる方法。
   くるりも、気功などの呼吸法で聞いたことがないか?
   悪い気を吐く感覚で、ゆっくりと息を口から細く長く吐く。
   吐ききったら、今度はいい気を吸い込む感覚で、
   ゆっくりと鼻から息を吸って、体中に充満させる。
   もしため息が出てしまったら、悪い気が溜まってると思って、
   この呼吸法を何度か繰り返すんだ。
   そうすると、悪い気はすっかり出て行き、
   いい気が入ってくる。
   
  くるり
   抽象的な感じでは本当にそうなってるのか、よくわからないけど、
   そういう呼吸をすることに集中することによって、
   神経を切り替えることになるから、
   気分転換になるってことはあるかもね。
  
  天之太助
   だから、確かに気持ちが切り替わる。
   気持ちも落ち着いてくる。
   つまり、それがいい気が入ってきた証だ。
   抽象的だろうがなんだろうが、そのように考えてやると、
   本当にそういう気を取り入れられるのが人間なんだよ。
   
  くるり
   確かにため息ついても、よけい暗くなるだけで、
   何も変わらないね。
   ため息は悪い気の注意報だと思えばいいんだ。
   
  天之太助
   ため息は溜息と書くだろう。つまり溜まる気だ。
   悪い気がよどんで溜まるから、溢れてくる。
   だから、ため息が出る状態はよくないわけ。
  
  くるり
   じゃあ、いい気が溜まりすぎて溢れたらどうなるの?
  
  天之太助
   いい気は順調に循環するものだから、溜まらないのだ。
   悪い気がよどんで溢れる水なら、いい気はさらさら流れる川だ。
   だから、いい気は溜まるものではなく、溜めるもの。
  
  くるり
   そういえば、気合術とか気功とかは、気を集めて溜めるね。
   悪い気が溜まって「溜息」になるなら、いい気は溜めて「溜めいい気」。
  
  天之太助 
   もう一つ。
   ため息をつくと、体の力が抜けてしまう。
   ため息は、人間の精も魂も抜いてしまうんだ。
   だから、ふぬけた張りのない顔になってしまう。
   くるりも、ため息たくさんついてたとみえて、
   だいぶふぬけた顔してるぞ。
   ちょっとこの呼吸法をしてみるがいい。
  
  くるり
   はい。
   はくーーー…、
   すうーーー…、
   はくーーー…、
   すうーーー…、
   あー、なんか元気が甦ってきた。
   やっぱり悪い気が相当溜まってたんだね。
  
  天之太助
   あー、ようやくふぬけた顔から、
   いつものまぬけな顔になった。
   これで安心。
  
  くるり
   どこで安心してるんですか?

 (発行マガジンより、若干手直しして本文のみ掲載しております。)
  


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