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                 あっぱれ長屋のプラス話 第32号

                       〜こだわりの格〜              
                                     2004. 9. 17




  くるり 
   みなさん、こんにちは。
   今日は落語家へのへの亭もへじさんです。
  
  もへじ 
   こんちは。
   いやあ、たまげたねえ。
   21世紀の子供は、お上の手習所で全員勉学ができるっていうのに、
   それだけでは物足りなくて、私設の塾にも行ってる子が多いんだね。
   なかなか勉学熱心じゃねえか。
  
  くるり 
   勉強が好きだからって言うより、
   行かざるを得ないから仕方なくというほうが多いかもね。
  
  もへじ 
   なんだ、そうなんか。
   そうそう、このあいだ塾の前で、
   ちょうど出てきた小さな坊と眼が合ったから、
   「坊、おめえは勉強好きなんだな。
   そんなに勉強して、将来何になりてえんだい」
   って聞いてみたよ。
  
  くるり 
   やたらに知らない子に話しかけちゃ駄目だよ。
   怪しいおじさんに間違えられるから。
   まして、もへじさんのその面構えなんだから。
  
  もへじ 
   なんで子供に話しかけたらいけねえの?
   江戸では子供は宝、みんなで育てるみてえなもんだぞ。
   子供に声もかけねえような冷てえ世界で、
   子供を育てるんかい。
   おめえも、時々わからんこと言うよな。
  
  くるり
   今は、子供に危害を加えて自分の不満を解消しようっていう、
   おかしい人が多いんだよ。
  
  もへじ
   なんだとお!
   そんな奴が増えてんのかい。
   そりゃ、ほんとにおかしな時代だぞ。
   そうだ、おかしいといえば、その坊もおかしなこと言ってたんで、
   おめえに聞こうと思ってた。
   一生懸命勉強して、高い捨て板を手に入れると、
   親が喜んで、回りの人も感心して、
   お金持ちにもなれるとかなんとか。
   だから、それを手に入れて、
   えれえとってのになるんだと。
   えれえとってのは、えれえ人ってこったろとは思うんだが、
   その高い捨て板ってのを手に入れれば、えれえ人になれるんかい?
  
  くるり 
   えれえとってのは、エリートのことだと思うけど。
  
  もへじ
   襟糸?裁縫でもやるんか?
  
  くるり
   いや…まあ「えれえ人」でいいや。
   でも、高い捨て板の話は、初めて聞いたな。
   そんなのあるなら、私も探しに行かなくちゃ。
   高い捨て板、すてていた?
  
  もへじ
   つっまらねえー。
  
  くるり
   もへじさんの落語を聞くお客さんの気持ちが、
   わかったでしょ。
   わかった!
  
  もへじ
   勝手に返事すんなよ。
  
  くるり
   そうじゃなくて、捨て板がわかったの。
   ステイタスのことだ。
  
  もへじ 
   すていたす?
   なんでえそれ。
  
  くるり 
   地位のことだよ。
   出世するとか、頭がよくないとなれない、
   たとえば医者みたいな職業は、実入りも多いし社会的信用も高い。
   だから、みんなに羨ましがられるし、尊敬される。
   それが子供の幸せと思って、子供をえれえと、じゃない、
   エリート路線に乗せたい親は、子供に言うのよ。
   「今は大変でも、有名大学を出ていいところに就職したり、
   難しい資格をとれば、それで人生成功よ!
   頑張って勉強しなさい」
  
  もへじ 
   へえ、そんなもんかい。
   でも、医者なんて、あっしらの時代はなろうと思えば、
   明日からでもなれるけどねえ。
  
  くるり
   だから、藪医者も多いでしょ。
  
  もへじ
   21世紀にも、とんでもねえ藪がいるんだろ。
  
  くるり
   江戸の藪医者は、医療知識に乏しくて藪医者なんだけど、
   21世紀の藪医者は、人間的に問題があって藪医者なんだな。
  
  もへじ
   それも困るな。
   で、あの坊もそのえれえと道を目指してるんだな。
  
  くるり 
   まあおおかた、親にそう吹き込まれてるだけだよ。
   まだ小さいのに、そんなことわかるわけないんだもん。
   素直な子ほど、それが正しい生き方だと信じるもんね。
  
  もへじ
   だけど、なんだな。
   そのえれえと道ってのは、あくまでも人間が作った世界での話だよな。
   江戸でいったら、殿様になりてえとか、
   直参になりてえとか、そういう類のもんだろ。
  
  くるり
   まあ、そんなもんかな。
  
  もへじ
   あのなあ、人間の作る世界での格よりも、
   こだわらなくちゃいけねえのは、
   神様の作る世界での格なんだよ。
  
  くるり
   もへじさん、似合わないこと言うね。
   その、神様の作る世界での格ってなによ。
  
  もへじ
   人格。
  
  くるり
   そんなのは建前としては、みんなわかってるよ。
   でもね、人格だけではこの世の中渡っていけないのよ。
  
  もへじ
   そんな屁理屈で、そこんところをおろそかにして、
   人間の作った世界の地位ばかり追い求めるようになったから、
   子供に危害を加えたり、人間性に欠陥のある医者みたいのが、
   出てくるんだろ。
  
  くるり
   そっ、それを言われると…。
  
  もへじ
   あのね、人格にこだわるってのは、
   人間として立派にって意味の人格もあるけど、
   自分らしく、自分を尊重して生きるってことも、
   人格には大きな意味があんの。
   精神的に満足度が高い生活なら、人格もゆがんだりはしねえもんだ。
  
  くるり
   確かに、自分の望む人生でないことに不満がたまるから、
   ゆがんでくるってことはあるかもね。
  
  もへじ
   人格はどうでもよくて、この世の地位だけを求めるってのは、
   他人からどう見られるかだけを意識している状態だ。
   だからそこには、自分がいねえんよ。
   だから自分を見失ってしまう。
   だから、どこかがおかしくなる。
   
  くるり
   そして、その地位がなくなれば何も残らない。
  
  もへじ
   そうだ、いいこと言うじゃねえか。
  
  くるり
   でも、お金は残るよ。
  
  もへじ
   人格を大事にした人には、人望と人徳という宝が残る。
   それがあれば、みんなが助力を惜しまねえ。
   これは、いくら金を積んでも買えねえものだ。
   金と地位はあるが、人望も人徳もない人のところに集まるのは、
   その金と地位だけにたかる人間ばかりだ。
   そりゃ当然だよな。人格がねえんだから。
   あの坊も、そこのところを見失わないといいけどなあ。
  
  くるり
   でも、本人もその捨て板コース、目指す気になってるんでしょ。
  
  もへじ
   ステイタスだろ。
  
  くるり
   なんで、あんたに直される。
  
  もへじ
   でもな、あの坊、あっしが噺家だって言ったらよ、
   目輝かせて、こう憧れのまなざしで見るんだな。
   実は、落語が大好きなんだと。
   子供のころのあっしを見るようだったよ。
  
  くるり
   そんなうちから、落語にはまってるってのも、変な子だねえ。
  
  もへじ
   変とはなんでえ。
   その坊はな、ほんとは噺家になりてえんだと。
   でも、今は落語を見させてもらえなくなったんだってよ。
   泣ける話じゃねえか。
   人生の目標を早くから見つけてるのは幸せなことのはずなのに、
   あの坊にとっては、幸せでなくなってるんだよな〜。
  
  くるり
   よしよし、泣かないで。
  
  もへじ
   子供の幸せのためといいながら、
   子供に親の意向を押し付けちゃいけねえよ。
   親の自己満足で示された道を進むことしか知らなかったら、
   挫折したときに、どうしたらいいかわからなくなっちまう。
   そうか、今は親があれこれ手出しすぎるから、
   自分を持たない人間が増えちゃってるのかもな。
   そのくせ、しつけとか道徳とか、肝心なとこは放任主義だよなー。
   だから、お勉強だけはできるけど、
   人間的にはゆがんでるって人が多いんだな。
  
  くるり
   他人と比較してどうかってことより、自分をしっかり見据えて、
   自分を充実させることを考えなくてはね。
   まあ、頭ではわかっているけど、実践が伴わないだけのことのような、
   気もするけど。
  
  もへじ
   自分の人生は自分で作るものだってことを忘れなければ、
   自分の人格ってものも、大事にできるようになるさ
   21世紀人を見てると、他人に対して配慮のいるところで、
   自分のことしか見てなくて、
   自分のことを見なくてはいけないところで、
   他人を気にしてんだよ。
   それを逆にすればいいだけ。
   
  くるり
   その子も、人生の目標があるのは何よりの宝だから、
   正直に自分を生きて、将来立派な噺家になってるかもしれないね。
  
  もへじ
   まあ、あっしの落語を聞かせてやったら、
   「おじさん、まだまだだね」って言いやがったからな。
   あっしの落語のよさがわからんところは、やっぱりまだ子供だったけどな。
  
  くるり
   へえ、それを見抜いたんだ。
   なかなか、見込みあるかもね。
  
  もへじ
   あのねえ…。

 (発行マガジンより、若干手直しして本文のみ掲載しております。)


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