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あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義

 気分がのらない時向き編  





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               あっぱれ長屋のプラス話 第44号

               〜焦点がずれてるから腹がたつ〜          
                                2005. 3.31    




  くるり
   みなさん、こんにちは。
   今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客様は、
   浪人天さんの奥さんの、おとくさんです。
  
  とく
   みなさん、こんにちは。
   くるりさんも、お元気でした?
   あら、くるりさんったら、
   なんとまあひどい顔!
  
  くるり
   人の顔見て、いきなり失礼な。
   ただ、今日はちょっとむかついているだけです。
  
  とく
   何をそんなにむかついていらっしゃるのですか?
   鏡でも、ご覧になりましたの?
  
  くるり
   また、丁寧な言葉で、可愛くないことを。
  
  とく
   ふふふ、冗談よ。
  
  くるり
   あたりまえじゃい!
   本気で言われたくないわい!
  
  とく
   まあ、本当にご機嫌が悪いですわね。
   何がございましたの?
  
  くるり
   聞いてよ!
   最近の若者ってのは、
   人に道を譲ったら損だと思ってんのかしらね。
   年上を敬う心なんて、これっぽっちもない!
  
  とく
   あら、前号では、「お年寄り」にこだわってたわりに、
   そういう時は、お年寄りになるのね。
  
  くるり
   お年寄りではなくて、年上!
   あのね、私が、重い荷物を持って歩いていたときに、
   道普請をしていて、道が狭くなってたの。
  
  とく
   道路工事ね。
  
  くるり
   人が気を使って、古めかしい言い方してあげたのに。

  とく
   あら、ますますご機嫌悪くなりまして?
   ごめんなさい。

  くるり
   そう言いつつ、なんだか顔は、
   とっても楽しそうなんですけど。
   で、私がちょうどそこへ差しかかったとき、
   向こうからも若者がやってきたのよ。
   でも、私のほうが先にそこに入っていたから、
   普通は、向こうが待つべき状態だったわけ。
   なのに、奴ときたら、先に通らなくては損だとばかりに
   急に足を早めて割り込んできてさ、
   重い荷物を持ってるこの年寄り、
   いや年上は、しかたなく下がったわよ。
   なのに、奴ときたら、「すみません」の一言もなく、
   当然、平然、悠然と通り過ぎていったのよ。
   まったく、自分のことしか見えない奴って、腹がたつ!
 
  とく
   確かに、くるりさんは自分のことより、
   人のことを考えて、よく見てるものね。  
 
  くるり
   まっ、まあね。へへへ。
  
  とく
   あら、少しご機嫌直ったみたいですわね。
   でも、今のはほめるつもりで言ったんじゃないのだけれど。 
   あのね、くるりさんが腹をたてている原因は、
   相手の行為に対してでしょ。
   つまり、自分より人に焦点が行ってるの。
   そういう意味で、人のことを見てると言ったのよ。
   
  くるり
   その先のおとくさんの言いたいことは、わかったよ。
   自分を見て、自分にも悪いところがあるはずだから、
   それと相殺しなさいって言うんでしょ。
   でも、この場合、私には落ち度はない!
  
  とく
   そうよ。

  くるり
   あれ?
  
  とく
   だから、そんなことしろなんて、言いません。
   特に、くるりさんが文句一つ言わずに譲ってあげたというのは、
   奇跡に近いわ。
   かなりよくやったわよ。
   えらい、えらい!
   いい子、いい子。

  くるり
   ほめてるのか、馬鹿にしてるのか…。
   
  とく
   あのね、だからこそ、相手の腹の立つ行為より、
   自分のした立派な行為を見たほうがいいでしょってこと。
   人に不愉快な思いをさせられた自分、と考えてしまうから、
   腹の虫が治まらないけど、
   不愉快な思いに遭遇した時に、大きな心で受け流せた自分に
   焦点をあてたら、腹もたたなくなるの。
  
  くるり
   そうは言ってもなあ。
  
  とく
   だいたい、人間が腹をたてる時というのは、
   人に不愉快な思いをさせられた時なんだから、
   その原因を切り離せばいいのは、当然のことでしょ。
   
  くるり
   でも、人間は感情の生き物だもの、
   理屈どおりにはいきません。  
  
  とく
   じゃあね、こういう場合はどう?
   くるりさんが石につまずいて、
   痛い思いをしたとしましょう。
   くるりさんは、きっとこう言うでしょう。
   「いてえ!このやろう、何しやがんでえ!」
  
  くるり
   それじゃ、もへじやたて太郎と一緒ですけど。
  
  とく
   そして、その石を蹴飛ばして、「いてててて」
   そして、また腹たてて蹴飛ばして、「いてててて」
   そして…、
  
  くるり
   やっぱり馬鹿にしてるよ。
  
  とく
   この場合、石に焦点をあてて、
   おまえのせいで痛い思いをしたと、腹をたてるわけ。
   でもね、石そのものは最初からそこにあった。
   そこにたまたま、くるりさんがぶつかっただけ。
   むしろ石が人間と同じだったら、
   勝手にぶつかってきて、こっちのせいにするな、
   理不尽なのはこちとらのほうでえ!
   ってことになるでしょ。
   でも、石は何も言わない。
  
  くるり
   そりゃ、石には感情はありませんから。
   
  とく
   だから、一方的な理屈で、けられていても、
   石はおかまいなし。
   で、くるりさんがすっきりするかといえば、
   石を蹴飛ばして、痛い思いをしている。
   そしてまた腹をたててる。 
  
  くるり
   こちらは、感情の生き物なもんで。 
  
  とく
   その感情にふりまわされてしまっているから、
   味わう必要もない痛い思いを、
   わざわざ自分から味わっているんでしょ。
   今、くるりさんが、何度も思い出しては、
   いつまでも腹をたててるように。
   ここは、感情のない石を見習って、石になってみなさい。
  
  くるり
   黙って、けとばされてろって言うの?
  
  とく
   くるりさんの場合、それもいいけれど、
   そうではなくて、石の対処法を見習えってこと。
   相手の理不尽な振る舞いに反応することなく、
   相手のいたらなさを受け入れてあげなさい。

  くるり
   それが素直にできれば、最初から腹をたててません。
  
  とく
   じゃあ、腹立ちの原因に焦点をあてて、
   いつまでも腹をたてていれば、よろしいですわ。
    
  くるり
   そんないきなり、突き放さないでください。
  
  とく
   では、この石の話を、自分に焦点をあてて考えてみなさい。
  
  くるり
   歩いていたら、石につまづいた。
   「いてえ!このやろう、何しやがんでえ!」
  
  とく
   やっぱりそう言うじゃない。
  
  くるり
   じゃなくて、
   「あいたたた、あらこんなところに石がございましたのね。
   わたくしとしたことが、とんだ不注意でございました。
   石さん、蹴飛ばしてごめんなさいね。」
  
  とく
   って、考えれば腹がたたないどころか、
   思いやりまで生まれるでしょ。
   でも、その言葉遣いは、くるりさんじゃないですわよ。
  
  くるり
   だまらっしゃい。
  
  とく
   相手が何をしたかではなく、そのとき自分がどう行動したかが大事。
   それに感情はなくても、石には意志はあるのよ。

  くるり
   それって、江戸っ子の好きな駄洒落?
   おとくさんも、そんな駄洒落がすらっと出るようになるなんて、
   ますます町人らしくなってきたね。
   
  とく
   あら、そう?
   日々、研究はしているけど…じゃなくて、もっと高尚な話よ。
   石の意志は、自然の摂理の中にあるということ。
   人間より、はるかに神様に近いところに存在しているの。
   だから人間みたいに、感情にふりまわされるような次元には
   いないのよ。
 
  くるり
   それで、昔から人は、自然のものを神様みたいにあがめてきたのかな。
   でもなんだか、単なる道路工事から、壮大な話になってきましたけど。

  とく   
   では、最初の話に戻るけど、
   くるりさんは、重い荷物を持っていたお年寄りなのに、
   図々しく割り込んできた若者に、けんかも売らず、
   道を譲ってあげた。
   なかなか、徳のある大人の行動をしたわよね。
    
  くるり
   お年寄りじゃなくて年上。
   それに、いつもけんかを売ってるわけではありません。

  とく
   対して相手。
   重そうな荷物を持ってるお年寄りが来るのが見えたけど、
   自分が待つのは嫌だったから、
   強引に足早に割り込んでいって、
   そのお年寄りを押し出しすような形で待たせ、
   感謝もお侘びもなく、そのまま打ち捨ててった。
    
  くるり
   人をごみのように言わないでください。
   それから、お年寄りから離れてください。
  
  とく
   確かにこんな行為に、徳は生まれません。
   というか、徳を減らしてしまったわね。
  
  くるり
   そうでしょ、そうでしょ!
   ざまあみろ!
  
  とく
   あら、くるりさんの徳も、減りました。
  
  くるり
   え。
  
  とく
   相手が徳を減らした行為をしたからって、
   それにあわせて自分も徳を減らすことはないのよ。
   腹をたててけんかをするということは、そういうこと。
   「腹が減っては戦はできぬ」っていうことわざがあるでしょう。
   「ものごとは充分な用意をしてから」
   という意味なのだけれど、
   うちの天之太助さま流の解釈は、こうよ。
   戦、戦と騒ぐ前にまず腹ごしらえをして、
   気持ちを冷静にせよ、
   そうすれば、気持ちも落ち着いて、戦をする気も失せる。
  
  くるり
   うん、わかる。
   私も、気合を入れたい時の前には、
   「腹が減っては戦はできぬ」でまず食べるんだ。
   そして満腹になると、すっかりやる気が失せる。
  
  とく
   私も話す気が失せました。

  くるり
   冗談よ、冗談。    
  
  とく
   相手が、理不尽な振る舞いをすれば、
   それだけ徳を減らしているんだから、
   自分はその分をもらって増やしときなさいな。
   人から腹のたつことをされたときは、
   自分がこの場面でどう行動できるかだけ考えるのよ。
   そう考えたら、腹がたつ場面は、
   徳を積む機会を、相手から与えてもらったも同然。
   むしろ、感謝の気持ちがわいてくるはず。
  
  くるり
   では、あの若者に感謝せねばならぬのか?
  
  とく
   急にしゃちほこばった物言いになったわね。
   やっぱり、まだひっかかるのね。
   でも、大切なのは、そのとき、自分がとる行為であって、
   不愉快な気持ちを持ち続けることではないはずよ。
   「理不尽なことにも動じず、
   行動をする機会を与えてもらって、ありがとう。 
   お陰で徳が積めました。ありがとう」
   って、言ってみなさいな。
   なんだか、大きくなった気分になるわよ。
  
  くるり
   でも、それなら、
   「こんなことで腹立てるなんて、自分は、まだまだいたらない」
   って、素直に反省したほうがよりいいんじゃないの?
  
  とく
   あら、これだけ言っても、
   まだひっかかってるくるりさんなのに、
   そんなことできまして?
  
  くるり
   はい、できません。
  
  とく
   いきなり、そんなこと考えられるようになれば、
   たいしたものよ。
   だけど、最初は徳を積ませてもらったと感謝するほうが、
   気分が明るくなるし、簡単でしょ。
  
  くるり
   まあ、簡単と言えるかどうかはわからないけど。
  
  とく
   「こんなことで腹をたてる自分は、まだまだいたらない」
   とすぐに考えられるのは、達人級の技。
   最初から、そんなところを目指すのは大変。
   だから、まずは「徳を積ませてもらいました。ありがとう」
   ってとこから行くのよ。
  
  くるり
   「損して得とれ」みたいだね。
  
  とく
   得した、と考えるほうが、
   やりやすいでしょ。
   まずは、感情にふりまわされず、
   腹立ちを押さえられるようにすること。
   それが馴染んでくれば、
   もし、そう考えられなくてこだわってしまったときに、
   自然と、「まだまだいたらない」
   って気づくことができるようになるの。
  
  くるり
   なるほど。
   おとくさんは、もう達人級なの?
  
  とく
   どうかしらね。
   でも、お義母さまに対しては、腹のたつことがあっても、
   「自分がいたらないからだ」って考えられるから、
   あら、達人級かしら。
  
  くるり
   それは、今は離れて暮らしてるから、
   そう考えられるんじゃないの?
  
  とく
   そうかもしれませんわね。
  
  くるり
   じゃあ、もし天さんが浮気したとしたら、
   「私がいたらないからだ」
   って思える?
  
  とく
   それは、
   「私がいたらない」ではなくて、
   「私がいたら、ない」です。
  
  くるり
   さすが達人、恐れ入りました。
  




 (発行マガジンより、若干手直しして本文のみ掲載しております。)


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