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あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義

 気分がのらない時向き編  





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               あっぱれ長屋のプラス話 第54号   

                 〜使わないから見失う〜            
                                    2005. 9. 14    




 くるり
   みなさん、こんにちは。
   今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客様は、
   大工のたて太郎さんです。
   うーん、この紹介もパターン化してきたから、
   ちょっと言い方変えようかな。
   みなさま、お元気ですか。
   今日のゲストは江戸のカーペンター、たて太郎さんです。
  
  たて太郎
   なんだと!
   「今日の下司は、江戸のかっぺだ、たて太郎」だと?
  
  くるり
   …江戸っ子って、聞きなれない言葉を、
   無理やり変換するのね。
   でも、やっぱり、江戸っ子は気が短いねえ。
  
  たて太郎
   おいらから見たら、21世紀人のほうが、
   よっぽど気が短けえよ。
   せかせかぎすぎすいらいらとげとげした顔してる奴が
   多いんだよな。
  
  くるり
   まあ、たくさん並べてくれたこと。
  
  たて太郎
   だいたいよ、心の余裕ってもんがねえもんな。
   自分のことしか考えられねえやつが多いし。
  
  くるり
   今は江戸時代と違って、助け合わなくても、
   お金さえあれば、生活できるようになったからね。
   個の時代だし。
  
  たて太郎
   なーにが個の時代だよ。
   個なら個性的になりゃいいのに、
   区別がつかねえような似たような格好して、
   生活だって、人生だってみんなと同じようにが無難。
   みんな、人まねばかりじゃねえか。
   どこに個があるんだよ。
   個どころか自分すらねえじゃないか。
   ちゃんちゃらおかしいね。
  
  くるり
   今日はからむね。
   だけどさ、それを言ったら、江戸に比べたら、
   今のほうが多様だよ。
   今は髪だって、長くても短かくても、
   赤くても青くてもいいんだし、
   生き方だって、身分なんてものはないんだから、
   好きな道を選べるよ。
  
  たて太郎
   だったらもっと自由に、生きればいいじゃねえの。
   おいらの見たところ、
   礼儀だけは、見事に自由奔放だけどな。
  
  くるり
   たて太郎から、礼儀の心得を聞くとは思わなかった。
  
  たて太郎
   そりゃ、おいらは、
   江戸ではお行儀がいいとは言えねえけどな、
   21世紀人と比べたら、
   なんて礼儀を知ってる子だろと思ったね。
  
  くるり
   どうして、そこで急に子どもになるんだよ。
  
  たて太郎
   それに、いいわけえもんに覇気のねえ奴が多いな。
   だらーっとしてよ、どっかわりいんじゃねえのか。
   おいらみてえに、若さにつきものの、
   さわやかさってのもねえんだよな。
   たまにおいらみたいないい男見つけると、ほっとする。
  
  くるり
   どさくさにまぎれて、言いたいこと言ってない?
   まあ、いい男はともかく、
   確かに、たて太郎みたいな男は、
   21世紀にはいないね。
   絶滅種に近い。
  
  たて太郎
   そ、そうなの?
   まあな、情に厚いし、気は優しくて力持ち、
   さっぱりしていて、頼りがいがあって、
   稼ぎもある。そのうえ、顔もいい。
   こんな条件のそろったいい男は、江戸でも
   そんなにはいねえけどよ。
  
  くるり
   じゃあ、なんでもてないのよ。
  
  たて太郎
   それが、おいらもわからねえ。
  
  くるり
   じゃあ、なんで稼ぎがいいのに、
   いつもぴーぴーなのよ。
  
  たて太郎
   江戸っ子は宵越しの銭はもたねえ主義。
  
  くるり
   江戸では、それで済むかもしれないけど、
   21世紀は、すまないんだよ。
   もっとも私は、持ちたいのにないんだけど。
  
  たて太郎
   おめえは、なんだか知らないけど、
   余分なもん買いすぎ。
  
  くるり
   必要なものしか、買ってないよ。
  
  たて太郎
   おめえらの必要なものは、
   おいらたちから見たら贅沢品に過ぎねえてのが、
   ごまんとあるぜ。
  
  くるり
   そうは言っても、たて太郎だって、
   便利でいいなあと思うもの一杯あるでしょ。
  
  たて太郎
   確かに、手間がはぶけて便利なのは、ありがてえことだ。
   だけどな、その手間というのは、
   人間の知恵、経験、労力、心の結集だ。
   たとえば、かまどで炊く飯は、
   教えられた知恵と、これまでの経験と、
   火と鍋の様子を見ながら炊く労力と、
   おいしい飯を食べさせたいという心があるから、
   手間がかかっても、おいしく炊けるんだ。
   それからな、道具の力と人間の手間が協力して成すという形が、
   本来の便利さだ。
   そろばんと自分の頭を使って、計算するようにな。
   でも、おめえらのところでは、
   人間がやるべきその手間の部分も、
   物にやらせるようになった。
  
  くるり
   だから、人間にとって便利なんだよ。
  
  たて太郎
   だけど、手間がかからなくなったということは、
   その手間の能力も使わなくなったってこった。
   だから、おめえらに、おいらたちと同じ生活をしてみろ、
   って言ったら、おめえらはまいっちまうだろ。
   それに、えれきてるに頼った生活をしているおめえらは、
   えれきてるがなくなったら大混乱だけど、
   おいらたちは平気だぜ。
  
  くるり
   そればかりは、たちうちできないなあ。
   かといって、江戸時代の生活をしろと言われても…。
  
  たて太郎
   そんなこたあ、おいらも言わねえよ。
   21世紀には、21世紀の暮らしがあるんだから、
   それに合う物を使うのはしゃーねーや。
   それに、不便だから便利にしていくのは、文明の進歩だし、
   また前進しなくちゃいけねえよ。
   ただ、人間ができねえことを、
   物がしてくれるようになるということではいいことだが、
   人間が本来はできることまで、すっかり頼ってしまったら、
   人間の能力はどんどん退化していく。
   そうなったらそれは、純粋な進歩とは言えねえんじゃねえか?
  
  くるり
   そういえば、足も、江戸の人に比べたら、
   退化したよね。
  
  たて太郎
   ほんとだ。短けえなあ。
  
  くるり
   そういうことじゃなくて…。
   だいたい、人の足見て、そんなふうに納得するなって。
   長さじゃ、21世紀人のほうが、平均的には勝ってるよ。
   でも、健脚ぶりでは大敗ということ。
  
  たて太郎
   日本中どこでも歩いていくのが普通、
   というところから始まるおいらたちは、
   一里くらいなら、大したことねえ距離と思うけど、
   おめえらは、それは乗り物で行く距離と、
   いうところから始まる。
   その差の部分が、文明の進歩だけどよ、
   そこを乗り物に頼りきっている結果、
   そんな距離は「歩けねえ」ということになっちまってる。
    
  くるり
   だって、一里って言ったら、4キロでしょ。
   歩くなんて無理。

  たて太郎
   って言ってるけど、実際は歩いて歩けねえ距離じゃねえよ。
   おめえのその短けえ足でも、半刻くらいのもんだ。 

  くるり  
   半刻って、1時間くらいか。
   確かに、歩けば歩けないことはないか。
   
  たて太郎
   歩ける距離と思う前に、そんなの面倒だ、大変だ、無理だ、
   そういう思いがあるから、
   できねえということになっちまうんだ。
 
  くるり
   便利に慣れてしまって、本当はやってできないことではないのに、
   できないものと決めつけてしまうのか。   
  
  たて太郎
   そういう癖が、おいらたちより
   ずっとついちまってる。
   わかったぞ。
   おめえらのところで、わけえのがでれーっとしてるのはよ、
   便利さに慣れきって、
   どんどん人間としての能力をなくしてるんだな。
   体力的なものだけでなく、意欲も失ってるんだよ。
   手間をかけねえ生活に慣れきってるから、
   手間がかかるものが嫌いだ。
   ということは、知恵も経験も労力も心も、
   あまり使わねえってこった。
   だから、覇気がなくて、腑抜けてるんだ。
  
  くるり
   人間は、便利さを知ってしまうと、
   つい面倒くさいっていう気持ちになってしまうもんだもの。
   でも、今だって、何里という距離をわざわざ歩いてみたり、
   面倒な手間かけた手づくりを楽しむ人もいるよ。
  
  たて太郎
   それが本来の人間の姿だからだよ。
   自分が本当は持ってる力を、生かして極めるから、
   自分を信じ、感じられるんだよ。
   おめえらも、本当は自分が思う以上に、
   できる能力を持っているんだ。
   ただ、それを出すための手間を面倒くさがる癖がついちまったから、
   できねえだけのこと。
   それが、人生の生き方にまで、表れちまってるんだ。
  
  くるり
   お手軽便利な世にいながらも、
   手間ひまをかけることの大切さも、
   忘れてはいけない。
   快適さばかりを求めて、人間としての能力や心まで、
   退化させてはいけない、だね。
  
  たて太郎
   それに、始まる位置が違うということは、
   ありがたみも薄れる。
   歩くのが普通のおいらたちが、21世紀の乗り物に乗ったら、
   なんて速いんだ〜と感激するかもしれねえが、
   おめえらは、それが当然だと思ってるようにな。
   感動も狭まるから、ますます心が反応しない。
   
  くるり
   便利になると同時に、いろいろ失ってるものもあるんだね。
   だから、自分の存在を感じられない人も多いんだな。
   人間として、自分の能力を、もっと信じて使わなくては。
  
  たて太郎  
   人間なら、心がある。
   心があれば、人も大切にできる。
   人を大切にできれば、当然、自分も大切にできる。
   自分を大切にできれば、人生をもっとまじめに考えられる。
   そのための、手間ひままで、惜しんじゃいけねえよ。
   おめえらは、便利になって効率的になった分、
   同じ人生でも、おいらたちより、ずっとたくさんのことができるんだ。
   なのに、21世紀の人たちのほうが、充実してない人が多い。
   おいらたちの時代にも、そりゃだれた奴はいるさ。
   でも、もっと「人間やってます」って感じだよ。
   自分にはお手軽便利な軽薄さではなく、手間をかけろ!
   そうすりゃ、自分の中にある力が育つ。
   できないと思ってたことも、
   本当は、できるんだということがわかるはずだ。
   知恵、経験、労力、心という手間を楽しむ余裕も持つことだ。
   
  くるり
   快適な暮らしの中で充実していない顔があふれている時代と、
   不便だけど、人間味はあふれている時代、
   両方のいいとこどりでいかないとね。
   このままいったら、本当に自分のすることがなくなって、
   存在価値がわからなくなっちゃうかも。
   時には、不便を楽しむ心だね。
   でも、今日はなんでいらつき気味なの?
   またふられた?
  
  たて太郎
   うるせえやい!
   そうじゃなくてだな、21世紀の家の普請見たら、
   あまりに情けなくなっただけだ。
   家までお手軽軽薄になっちまってよ。
  
  くるり
   大丈夫だよ。
   お値段はお手軽になってないから。



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