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あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義

 気分がのらない時向き編  





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             あっぱれ長屋のプラス話 第107号   

              〜 なくなるのではなく変化する 〜       
                                    2008. 12. 12 
                         



  くるり
   みなさん、こんにちは。
   今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客様は、
   噺家のへのへの亭もへじさんです。
   もへじさん、聞いてよ〜。
  
  もへじ
   なんだなんだ、いきなりなんだ。
   
  くるり 
   昔の趣味で集めた本を、
   今は見ないからと思って、
   思い切って整理して捨てたのね。
   ところが、後から惜しむ気持ちがわいてきて、
   ずーっと後悔に苛まれてるの。
   失ってから愛に気づいても遅いのは、
   物も人も一緒…。
  
  もへじ
   どこか違う世界に入ってしまったようだ。
   こらこら、遠い目は後にして、
   その書物、
   おめえは自分の意思で捨てたんだろ。
   あっしなんか、
   趣味で拾い集めていた石で、
   長屋の床を抜いちまって、
   やむなく手放したんだぞ。
   だが、後悔なんかしなかった。
   
  くるり
   それは後悔しない方が正常なんです。

  もへじ
   いや、趣味のものってのは、
   それに関心がない人間にとっては、
   がらくた同然、ごみ同然のものだが、
   当人にとっては、
   人にはわからねえ思い入れがあるもんだ。

  くるり
   それほど言うなら、
   いい石も多少はあった?
     
  もへじ
   ない!
  
  くるり
   言いきるところが、すばらしい。
  
  もへじ
   あっしの石は、
   嬉しいことがあった時に、記念として拾う石だから、
   まさにあっしの思い入れの塊。
  
  くるり
   前に、おなかさんが、
   価値は、人の心で決まるという話をしてたけど、 
   価値がもへじさんの思い入れのみなんて、
   究極すぎる。
   でも、底が抜けるほど集まったというのは、
   それだけ嬉しいことがあったんだね。
  
  もへじ
   いいところに気がついたなあ。 
   そこが、思わぬ効用で、
   増えてくること自体が、
   だんだん楽しくなってきて、
   いつの間にか、石を拾うために、
   嬉しいことを見つけるようにようになってきたんだな。 
   おかげで気分も前向きになって、
   まさに一石二鳥!
  
  くるり
   小銭を貯めることにしとけば、一石三鳥だったのに。
  
  もへじ
   そう思ってやってみたんだが、
   米買う金もなくなって、
   逆に嬉しいことが起きるたびに、
   またお金を入れなくてはならない、
   と、悲しくなっちまった。
   やはり、石ころのほうが、
   気兼ねなく嬉しいことが見つけられる。
   嬉しさの大きさに合わせて、
   石の大きさを変えてたから、
   大きい石は、おかみさん連中が、
   漬物石にするって持ってった。
   あっしの大きな喜びが、
   町内のあちこちの漬物樽の上で鎮座ましてるのは
   嬉しいような悲しいような気がしないでもないがな。
  
  くるり
   いいじゃないの。
   石が漬物石に変わっても、
   もへじさんの喜びが消えるわけじゃないんだもの。
  
  もへじ
   くるりだって、
   書物がなくなっても、
   手に入れて楽しんだ喜びは消えるわけじゃねえ。

  くるり
   それとこれとは別。

  もへじ
   いや、同じだ。
   そもそも、なぜ手放す気になったかだ。
   
  くるり
   興味もなくなって読むこともなくなり、
   場所だけとってるから、
   もういいかなと思ったの。
   まさか、こんなに悔やむことになるなんて思わなかったもの。
      
  もへじ
   ということは、手放さないでいたら、
   後悔に苛まれることはなかったろうが、
   持っていたら、
   場所をとっていても、捨てるに捨てられないという
   うっとうしい思いを抱え続けることになってたわけだ。  
  
  くるり
   どちらにしても、心を苛む思いは同じなのか。

  もへじ
   そのとおり。
   そんな状態で持っていたから、
   かつての喜びもしぼんでいた。
   だから、手放す気にもなったわけだ。
   そして、そうしたからこそ、
   かつての喜びが甦ってきたんだ。
   本来ならその喜びを大切にしていけばいいものを、
   惜しむ気持ちの原因にしてしまってるんだ。   
  
  くるり   
   もへじさんはそう考えて、
   石をあきらめることができたの?
   
  もへじ
   あっしの場合は、
   ちょっと違う。
   あっしは、形ある物というのは、
   なくなるのではなく、
   変化するものと思ってる。
  
  くるり
   確かに、場所が漬物樽の上に変わった。
   でも私の本は、
   誰かの手に渡ってるならともかく、
   存在すらなくなってしまったかもしれないんだよ。
  
 もへじ
   まあ、最後まで聞けって。
   いいか、形あるものは、
   形のないところからの変化で生まれてくる。
   そして、形を得ても、
   その時のままであり続けることはねえ。
   時と共に、古くなったり形態を変えたりしていく。
   もちろん、形がなくなる場合もあるが、
   それは元の状態への変化だ。
   こういう変化は宿命なんだ。
   命あるものも、ないものも、自然のものも、作られたものも、
   逃れられねえ。
   床が抜けて石を手放すことになったのは、
   石にそういう変化の時期が来て、
   あっしの元を離れていくことになった、
   と思ったんだ。
  
  くるり
   なら、自然に戻された石はともかく、
   漬物石にされた石は、
   予定が狂ったな。

  もへじ 
   それは役目が変わったんだ。
   くるりの書物が、 
   違う人に喜びを与えているか、
   形のないものに変化したかはわからねえが、
   いずれにせよ、
   宿命の変化のために、
   おめえはそこまでしか、
   持ち主でいられなかったんだ。
   
  くるり
   だから、捨てる決心がつかなかったものを、
   ついに手放す気になったのかな。
   原因あっての結果というのではなく、
   結果あっての原因という考え方だね。
  
  もへじ
   宿命の変化だからこそ、
   そういう前兆的な意味も帯びてくる。
   だが、手元から離れても、
   その書物がくるりのものであったことや、
   それを手に入れて喜び、
   楽しんだことは永遠に変わらねえ。
   これは、さっきおめえが自分で言ったことだ。
   物自体は宿命の変化をしていくが、
   ちゃんと変化しないものを残していく。
   手放して思いが甦ったのは、  
   それがあることを忘れるなってこった。
       
  くるり
   健気な置き土産をしていってくれたんだ。
   それを思うと、改めて後悔の念がわいてくる。 

  もへじ   
   いくら、後悔しても、
   手放したことはもうどうしようもねえこと。
   変えようもない過去に囚われてしまえば、
   前に進めなくなる。
   もっとも、過去はまったく変えられないわけでもないがな。
    
  くるり
   えっ!
   未来にやってこられるもへじさんたちだから、
   やり直しができる秘法を知ってるの?
  
  もへじ
   そんなことができるか。
   あっしらとて先の世の記憶は持ち帰れねえ。
   江戸の時空に戻ったとたん、
   忘れてしまう。
   これは秘法でもなんでもなく、
   誰でもできることだ。
   いいか、過去は変えられなくても、
   現在は変えられる。
   そしておめえが囚われている後悔の念は、
   その現在にあるってことを忘れちゃいませんかってんだ。
   今の思いを変えるだけで、
   手放してしまったことが、
   後悔の種から、
   大切な思いを得たことに気づいた出来事になる。   
   実に簡単で当然の話だ。
   
  くるり
   私は、甦った喜びを、
   惜しむ気持ちの素にしてしまってるから、
   後悔している。
   心を苛む材料にしないで、
   得ることのできた大切なものを、
   感謝と共に持ち続けるのが筋なんだ。
    
  もへじ
   思いも、変化させられるんだからな。
   形あるものと違うのは、
   形あるものの変化は宿命なのに対して、
   形のない思いの変化は自分次第ってこった。
   だからこそ、思いを宿命の変化に対応させて、
   いつも心を最良の状態に保つことができるんだ。
   残してくれた思い出に感謝して書物を手放せば、
   自然にそうなったところを、
   間違えて、最悪の状態で保つようにしてしまったから、
   どっちへ行っても、心が晴れない状態に陥ったわけだ。
      
  くるり   
   容姿なら、たとえ変化が宿命だと言われても、
   なんとか最良の状態で保とうと頑張っていたんだけどね。
   
  もへじ
   ハハハ、それは宿命の変化以前のお笑い種…、

  くるり
   おい。

  もへじ
   あ、い、いや、そういう意味じゃなくてだな、
   姿形の宿命の変化に対抗する方法こそ、
   心をいつも最良の状態に保つことであって、
   姿形だけ頑張るのは、
   見当はずれでお笑い種ってことを、
   言いたかったんだ。
     
  くるり
   心を最良の状態に保つために、
   そういうことにしておきましょう。 
      
  もへじ
   そういうことなんだって!
   手放した時には、後悔すると思わなかったことこそ、
   それが宿命の変化だったということだ。
   書物が永遠の思いに変化したんだ。
   その流れを変なところでとめてしまったから、
   おかしなことになっただけ。
   いつ頃から後悔するようになったんだ?
   手放してすぐか。

  くるり
   いや、そうでもない。
   だいぶたって、
   その本が高値で売れたと知ったときからかな?
    
  もへじ
   それを先に言え。
   「勝手に後悔していなさい」
   の一言で済んだのに。 
     


 
     
 (発行マガジンより、本文のみ掲載しております。)


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