あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
気分がのらない時向き編
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あっぱれ長屋のプラス話 第38号
〜相手の度量を超える瞬間〜
2004.12.11
くるり
みなさん、こんにちは。
今日のお江戸あっぱれ長屋のお客様は、
大工のたて太郎さんです。
たて太郎
よう!くるり、久しぶりだな!
あれ?なんで赤い顔してるの?
ひょっとして、久しぶりにおいらに会えて、
ときめいちゃった?
くるり
あいかわらず、おめでたい人だね。
私が顔を赤らめてるのは、
ちょっと恥ずかしく思ってのことなの。
たて太郎
だから、おいらに会えたからだろ。
くるり
なんで、たて太郎に会って、私が顔を赤らめるのよ。
私は自分を恥じてるの。
たて太郎
こんな美しいお顔のたて太郎さんに比べて、
私は恥ずかしいくらい釣り合わないわってか?
くるり
だから、そこんとこから離れてちょうだい!
あのね、私が顔を赤らめてるのはね、
あることで人から指摘されて、
最初は「何言ってんのよ!」って思ったんだけど、
よく考えたらそのとおりで、「なんて恥ずかしい」って、
気がついたことがあったからなの。
たて太郎
なんだ、そんなことならおいらはしょっちゅうだぜ!
もういっつも、はずかし、はずかし、はずかし、キャー!
くるり
これだから、おはるちゃんとやらにふられるわけだ。
ちょっとたて太郎、これでも一応今の私はしょげてるんだから、
少し静かにしてよ。
たて太郎
なんで、しょげるんだよ。
ちいーっとも、しょげることなんてねーじゃねいか。
くるり
だって、私ってなんて情けないんだろうって思ったら、
元気もなくなるよ。
たて太郎
そんなに落ち込むこたあ、ねえだろ。
だって、くるりは人から指摘されて
そのことに気がついたんだろ。
人からきついこと言われて、ただ反発して認めようとしないより、
よっぽど上等じゃねえの。
くるり
そ、そう?
たて太郎
あたりめえだろ。
耳に痛いことを言われると、人間ってのは自分を擁護しようとして、
反発したくなるもんだ。
もし、くるりがそこで頭にきた、って、ぷんぷん怒ってるだけなら、
それこそ恥ずかしいんだよ。
だけど、くるりはいったんそれを受け入れてみて、冷静に考えて認めた。
そういう度量があるってことに、まず自信をもちなよ。
くるり
なんか、たて太郎いいこと言ってくれるね。
たて太郎
おいらなんか、いつも棟梁から、小言だらけだもんな。
そりゃ、むかつくこともあるさ。
でも、そのときに腹たててるだけだったら、
ただ不愉快になるだけだ。
そこで、言ってる中身だけを、冷静に考えてみる。
すると、言われていることは、いちいちごもっともなんだな。
それがわかると、不愉快な気持ちが感謝の気持ちになるんだ。
くるり
でも、相手のいうことに確かに一理あるときはそうなれるけど、
冷静に考えても、自分はそんなこと言われる覚えないときは、
腹の虫が収まらないでしょ。
たて太郎
いや、そういうことは一度もないから大丈夫!
くるり
それって、いばれることか?
たて太郎
人のいうことに反発する前に、
まず受け入れてみることができる人をなんと言うか。
くるり
優柔不断な人。
たて太郎
あのなあ…「素直な人」って言うの。
おめえ、そこから素直じゃねえな。
くるり
だって、いつも人から言われて受け入れるばかりじゃ、
自分が情けない人間に思えてくるよ。
たて太郎
それが大きな勘違い。
ふつうは、諌言する人間のほうが度量が大きいと思うだろ。
そして、確かに的を得た諌言をしてくれる人間のほうが、
度量があるかもしれない。
でも、どんなに的を得ていても、受け入れる素地がなければ、
意味を持たないんだぜ。
だから、その言葉を受け入れたとたんに、
素直に耳を傾けた人間のほうが、度量が大きくなるんだ。
くるり
でも、受け入れられることと、受け入れられないことはあるよ。
たて太郎
それを、受け入れる前に決めちまわないで、
まず最初はいったん受け入れてみるんだよ。
受け入れられるか、受け入れられねえかは、後で考えりゃいいこった。
くるりだって、いったん言葉を受け入れてみたから、
指摘されたことが恥ずかしいって気がつけたんだろ。
それを、認めようとしなかったら、
恥ずかしいままだったのは、確かだろうが。
くるり
それはそうだ。
あー、また思い出したら、
恥ずかしくて落ち込んでしまう。
たて太郎
いったい、どんなことだったんでえ。
くるり
なかなか手に入らないお饅頭が三つあって、
そのお饅頭を大好きな人間が二人いたら、
余るお饅頭を、どっちが食べるか。
たて太郎
はあ?
くるり
相手が食べたがった。
私も、食べたい。
たて太郎
どっちもどっちだな。
くるり
でもね、お金を出したのは私だから、
私に権利があるって言って、私が食べたの。
そしたら相手が泣き出してさ。
たて太郎
食っちまうおめえもおめえだが、
饅頭くらいで、泣き出す相手も相手だね。
くるり
で、言われたんだ。
「お金を出したのは、くるりちゃんでも、
寒い中並んで買ってきたのは私だよ。
半分こにしてくれたって、いいじゃない。
どうして、そんなに意地汚いの!
大人気ないんだから!」
たて太郎
そりゃ、もっともだ。
でも、饅頭一つで、大人気ねえって、
泣いて怒るほうも、大人気ねえな。
くるり
いや、そっちは大人気なくていいの。
子供だから。
ほんと、最初はなんでガキンチョに
そんなこと言われなくちゃならないのって
腹がたったけど、確かに食い意地はって大人気なかったよね。
でも、そう言われて素直に受け入れたんだから、
もう恥ずかしいってしょげることはないんだね。
たて太郎
いや、それは恥ずかしいだろ。
(発行マガジンより、若干手直しして本文のみ掲載しております。)
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