あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
憂鬱で毎日に嫌気がさした時向き編 
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あっぱれ長屋のプラス話 第28号
〜悩むのは楽天家の証拠〜
2004. 7. 22
くるり
ウーム…
ふく
こんにちは、みなさん。
ふくです。
こんにちは、くるり。
くるり
ウーム…
ふく
こっんにっちわあー！！！
くるり
わー、びっくりした！
ふく
せっかく久しぶりに来たのに、なにぼけっとしてるんだよ。
くるり
あっ、みなさん、今日はお江戸あっぱれ長屋から、
大家のおかみさんのおふくばあさん……、
じゃなくて、おふくさんが来てくれました。
ふく
もう先に挨拶しちゃったよ。
くるり
あっ、そうでしたか。すいません。
おふくさん、久しぶりだね。
ふく
冬の真っ最中以来だからね。
しかし、２１世紀の冬はあったかいと思ったら、
夏はこれまた異常な暑さだね。
この暑さでぼけっとしてたのかい？
くるり
ぼけっとどころか、一生懸命考えてたんだよ。
ふく
どう見ても、ぼけっとしてるようにしか、
見えなかったけどね。
何を考えてたの。
くるり
人間は悩むから暗くなるのか、暗いから悩むのか。
ふく
なるほど。
くるりの頭じゃ手に負えないような、
そんなむずかしいこと考えてたから、
頭が停止状態で、ぼけっとしてたんだ。
くるり
考えてたの！
おふくさんは、どっちだと思う？
ふく
そりゃ、決まってるで。
悩むから暗くなるんだよ。
もともと、人間はおめでたいくらい明るいんだから。
くるり
そうなの？
ふく
だって、本当はいつ死んでもおかしくないのに、
自分の命は人並みにあると誰もが無意識に思ってるじゃないか。
いつ死んでもいいような生活している人は、そうはいないよ。
これこそ、究極の楽天家。
悩むのも、自殺したいって考えるのも、
自分が生きられるっていう根拠のない前提のうえにあってこそのことだよ。
おめでたいでしょう。
くるり
だって、生きることを前提にしてなきゃ、
頑張ることもできなくなるじゃないの。
それに、たとえば飛行機に乗るとき、
「自分はこれで死ぬのかも」って考えたら乗れないよ。
「自分の乗る飛行機は落ちるわけないよ」って思えるから
乗れるようなもんで。
ふく
それもおめでたいよね。
人は自分の都合でものを考えるからね。
２１世紀人が飛行機ってものに平気で乗れるのは、
その便利さを知ってるからだ。
その便利さの前には、自分だけは大丈夫っていう根拠のない理屈も
信じられる。
江戸人の常識で言ったら、
あんな大きい固まりが何百人と人を乗せて空を飛ぶ方がおかしいよ。
あたしゃ、絶対いやだよ。
くるり
じゃあ、明日死ぬかもしれないんだからどうでもいいって思えっていうの？
ふく
すぐそういう方へ考えを持っていこうとするのも、
そう考えれば、いいかげんでいいやっていう都合のいい考え方だよ。
そう考えて気が軽くなって救われることも確かにあるけど、
なんでもかんでも、そんなふうに考えてしまったら
生きる意味がなくなってしまうじゃないの。
くるり
あっ、わかった！
はい！
ふく
はい、くるりさん、どうぞ。
くるり
こう考えればいいんでしょ。
いつ死ぬかわからないから、
とにかく今できることを一生懸命やればいい！
ふく
どんどんどん。
くるり
何それ？
ふく
正解だから、太鼓をたたいて上げたの。
くるり
あのー今なら、ピンポーンとかのほうが雰囲気が出るんですけど。
ふく
びんぼー！
くるり
あのね…
いや、なんでもないです、もういいです。
ふく
世の中は、今何かの事故が起きて死んだらどうしよう、
なんてことで暗くなってる人より、
世俗的な悩みで暗くなっている人のほうが、ずっと多いはずだよ。
根拠もないのにおめでたいくらい明るい意識を底に持ってるからこそ、
根拠のないことに囚われて暗くもなるんだよ。
くるり
じゃ、暗くなったときは、自分は明るいから暗くなれるんだーって、
思うことだね。
そんな楽天家の自分の存在に気がつけば、こんな悩みは乗り切れるぞー！って
元気もわいてくるよ。
ふく
それにとにかく、人間にとって確かなのは、今だけなんだ。
いつ死ぬかわからないからこそ、今を一生懸命生きるしかない。
くるり
今と真剣に向き合うってのは、そういう見方もあるのか。
ふく
そうだよ。
おまえは、こんなに暑いときに、冬の暖かい過ごし方を考えるかい？
逆に冬に、夏の涼しい過ごし方を考えるかい？
その時その時になって、対処して考えるでしょ。
くるり
確かに、今はこたつのことなど考える気にもなれないよ。
いかに涼しく過ごすかってことのほうが大事。
ふく
その涼しい過ごし方も、冬に考えるよりは夏に考えたほうが、
切実なだけに効果のある方法を考えつくでしょが。
「今」に向き合うのに一番いいのは今なんだよ。
そういう意味でも、今を大切にするの。
しかし、２１世紀の夏はひどいもんだね。
江戸の夏のほうがずっとましだ。
早く帰ろ。
くるり
私もこの暑さは嫌だから、江戸の夏に行きたいな。
ふく
おまえは２１世紀人なんだから、今のこの暑さと向き合わなきゃだめなの。
ざっんねんでっしたあー！
くるり
おふくさん、なんか今日は年甲斐もなく、
はじけすぎてない？
ふく
こんな暑いとこにいたら、おかしくなっちまうよ。
さあ、私は暑くてもここよりずーっとさわやかな江戸の夏に
向き合うとしましょう。
江戸の夏は風情があっていいよー。
じゃーねー。
しかし、ほんとに２１世紀は、やたら暑いだけだね。
あちあちあち！あぢあぢあぢ！あつあつあつ！
あーあつい！あつい！あつい！あつい！……
くるり
ただでさえ暑いのに、もっと暑くしていくなー！
だけど、おふくさんの「今」って、どうなってるんだろ？
（発行マガジンより、若干手直しして本文のみ掲載しております。）
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