あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
迷ったり悩んでいる時向き編 
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あっぱれ長屋のプラス話 第81号
〜 悩む心は脳が救う 〜
2007. 3. 31
くるり
みなさん、こんにちは。
今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客様は、
浪人の親又天之太助さんです。
天之太助
こんにちは。
おや、くるり、
眉間に縦じわがよってきてる。
よくないぞ。
うちのおとくを見よ。
苦労をさせてしまってるが、
眉間に縦じわなど一つも作ってない。
目じりの横じわだけだ。
くるり
天さん、おとくさんがここにいたら、
それをほめ言葉には受け取れないよ。
女心をわかってないなあ。
天之太助
そうか？
でも、くるりは縦じわも横じわも両方あるが、
おとくは横じわだけしかないんだぞ。
いいことではないか。
くるり
眉間の縦じわが、ますます増えそうだ。
天之太助
何を言ってるか。
どうせ、くるりの悩みというのだって、
そば屋の盛りの量が減ったとか、
おいしい飯屋が引っ越してしまったとか、
お気に入りの和菓子屋が値上げしたとか、
そんなもんに違いない。
くるり
どうでもいいけど、
私の悩みは、食べ物に関してだけですか。
天之太助
違うのか。
くるり
そうだけど。
天之太助
そんなことで眉間に縦じわ作ってるのは、
おぬしくらいだ。
平和なお人だ。
くるり
悪うございました。
でも、たまたま今はそんなもんだけど、
私だって、もっと深刻な悩みで悩むことだってあります。
天之太助
たまたま今はそんなもんって言える程度のものを、
眉間に縦じわ作るような悩みにする必要はない。
それに、たとえ深刻なものだとしても、
悩みなんてのは、自分で悩みと思った時に、
初めて悩みになるんだと、
ご隠居夫婦も言ってるではないか。
くるり
でも、悩みになってしまうことも
あるんだよね。
天之太助
悩むというのは、自分の望まないことに対しての、
心の反応だ。
心が反応するということは、
感情で捉えてるから。
それは、人間らしい反応でもある。
くるり
ほら、そうでしょ。
おいしいものを食べる機会が、
今までより減る悩みだって、
とっても人間らしい反応だと思う。
天之太助
でも、同じことに対して、
悩んで苦悩の種にする人もいれば、
前進の糧とする人がいるのも事実。
くるり
食べる機会が減ったとがっかりしている人と、
新たなおいしいものを見つける人の差、
みたいなもんだね。
天之太助
そこまでわかって、なぜ悩む。
その差ができてしまうのは、
行動力の差というよりも、
事実を、感情で捉えてるか、
現象で捉えてるかの差なんだよ。
くるり
そうか。
感情で捉えるから、
食べられなくなったことにがっかりしてるだけ、
現象で捉えるから、
食べられなくなったのなら別の新たな味を探そうと思える。
天之太助
どうでもいいが、
どこまでも、食べることから離れないな。
まあ、食べることに置き換えたほうが、
のみ込みが良くなるくるりだからいいか。
その感情と現象の別れ道は、
どこで受け止めたかで決まる。
すでに、感情は心だと言った。
では、現象は？
くるり
おいしいものを食べ続けるにはどうすべきかを考えてるんだから、
頭脳で受け止めている。
天之太助
やっぱり、見事にのみ込みが良くなる。
だがな、くるり、食べることに置き換えなくても、
もっとわかりやすいものがある。
悩むという字を見ろ。
心を表わすりっしんべんがついている。
だから、望まない事実に対し、
心で受け止めると、悩むことになるんだ。
そして、りっしんべんを体の部位を表わすにくづきに変えると、
なんと言う字になる？
くるり
えーっと、えーっと、えーっと…脳だ。
天之太助
食べることから離れたとたん、
頭の回転が遅くなってしまった。
くるり
いえ、「にくづき」という言葉に、
ちょっとひっかかってただけです。
天之太助
なるほど。
くるり
なぜ、速攻で納得する。
天之太助
この件に関して、話をひっぱるのは、
女心を傷つけるだろうからな。
くるり
素直に納得されるのも、複雑なんだけど。
天之太助
まあいいではないか。
話を続けるぞ。
つまり、心で受け止めれば感情として悩むことになり、
頭脳で受け止めれば、現象として考えることになる。
くるり
それを、字が表わしている。
天之太助
心で捉えれば、
悩みの種の存在にしかならない事実。
最初から負けている。
でも、脳で捉えれば、
問題、課題という見方ができる。
だからこそ、
それを解くにはどうしたらいいか、
という前向きの体制に最初からなれるんだ。
くるり
確かにそう考えると、冷静になって、
気持ちが軽くなるね。
天之太助
脳で捉えたほうがいいところは、まだある。
考えてみることで、
悩んでも仕方ないことまで悩んでしまってる場合も、
それが見えてくるということ。
くるり
余分な悩みを叩き落とせる。
天之太助
自分の望まない事実に対して、
考えることから始めるようになると、
悩みにすれば、苦しむだけでなんの解決もできないってことが、
とてもよくわかるようになる。
だから、そう簡単には悩みにならなくなるんだよ。
前向きでいる状態の強さは、想像以上。
悩みとして捉えれば、時間がたつほど、
苦悩が増すだけ。
でも、問題として捉えれば、時間がたつほど、
相手を知ることになるから、
解決できる力が増すんだ。
くるり
「困ったな」ときたら、
「では、どうしたらいいか」にする。
でも、解決不可能な場合は？
天之太助
自分の力の及ばないものを変えようとするには、
確かに解決できないものもあるかもしれない。
だが、それなら悩みに感じる自分を変えようと考えれば、
解決できないものは、一つもない。
それに、自分が変わったら、
困ってた事実まで解決してしまったということもよくあることだ。
くるり
でも、自分を曲げたら、負けるような気がする。
天之太助
曲げるわけじゃないし、負けたわけでもない。
自分が変われるのも、成長だし、
もちろん、問題を解決しても勝ちになる。
くるりにわかりやすいように言うと、
悩みを食べて栄養としてしまったのと同じこと。
負けるのは、逃げた時だけだ。
くるり
なるほど、女心のわからない天さんを
どうしたら変えさせられるか悩むよりも、
現象を見て考えて、
鈍感な人なのだから、
傷つかない女心を持つ自分になるほうが簡単だし、
自分にとっても得だという結論を得る。
天之太助
もうとっくに、天さんは鈍感な人だと思ってるし、
最初から簡単に傷つかない女心を持ってると思うんだがな。
くるり
やっぱり、ばれてるか。
天之太助
それより、くるり、
どうせ悩んで、縦じわ作るなら、
おいしいものの心配より、
にくづきという言葉に反応する状態を問題にしたほうが、
いいと思うぞ。
くるり
そうだね、そっちのほうが問題だ。
こんな自分を変えるためには、どうしたらいいか。
それだけ、肉がついてしまってるということだから…
天之太助
落とせばいいだけと、すぐわか…
くるり
そうか！
実際についてるんだから、
何もにくづきにひっかかる必要はないってことだ。
さあ、こっちは解決したから、
おいしいもの探しに行こうっと。
天之太助
しまった。
くるりには、
眉間の縦じわを増やす方法でも話しておいたほうが、
良かったか。
「悩む心は脳を救う」にしなくてはだめだったな。
（発行マガジンより、本文のみ掲載しております。）
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