あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
やる気を流し込みたい時向き編 
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あっぱれ長屋のプラス話 第49号
〜本気でやりたいと思ってるかを見分ける方法〜
2005. 6. 21
くるり
みなさん、こんにちは。
今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客さまは、
大工のたて太郎です。
たて太郎
よっ！
くるり
なんか、ご機嫌だね。
たて太郎
まあな。
聞いてくれよ。
気むずかしい棟梁がよ、
おいらのことついにほめてくれたんだよ。
「おめえは筋がいいな」って。
くるり
それ、本音で言ったのかあ？
たて太郎
なんでだよ。
くるり
だって、たて太郎の性格、
棟梁だってよく知ってるんでしょ。
もし、そんなこと言ったら、
調子にのっちゃうのは、
目にみえてるもん。
たて太郎
あれ？
そういえば棟梁の顔、
苦虫をかみつぶしたようだったな。
いつもそんな顔だから、気にもしなかったけど…。
でも、言われてみりゃ、ほめるときは、
あの鬼瓦みたいな棟梁の顔が、にこっ！ってなって、
えくぼなんかできちゃったりするんだったな。
えー！
ってことは、皮肉で言ってたのか？
あ〜、おいらって、なんてばかばか。
くるり
黙っていてあげとけば、良かった？
でも、皮肉で言っても、調子にのっちゃうんじゃ、
棟梁も大変だ。
でも、たて太郎のとこの棟梁って、
かなり厳しいって評判なんでしょ。
そんなところで、たて太郎が見捨てられないのも不思議だし、
逆にたて太郎が続けていられるのも不思議だよ。
たて太郎
おいらは、子供のころから、
腕のいい大工になりたかったんだよ。
だから、厳しい棟梁だから嫌だって思いより、
腕の確かな棟梁のもとで、
仕事を覚えられるんならって思いのほうが
先なんだよ。
おいらの棟梁の厳しさは有名だが、
あの棟梁のもとで修行した大工なら、
間違いねえと言われるんだからな。
どうだ、大したもんだろ。
くるり
大したもんになるのは、一人前になってからでしょが。
でも、自分が本当にしたいと思ってることだと、
普通なら躊躇するようなことでも、
何でもなくなってしまうんだね。
たて太郎
そりゃそうだ。
くるりもああしたいとか、これやりたいって、
思ってることねえのか。
くるり
たくさん、あるよ。
小さいことから大きなことまで。
たて太郎
たとえば？
くるり
そうだね、
小さいことで言えば、もっと美しくなりたいとか…。
たて太郎
小さいことじゃない気もするけどな。
じゃあ、大きなことは、なんでえ。
くるり
お店を持ちたいとか。
たて太郎
じゃあ、やればいいじゃねえか。
くるり
そう簡単に言われたって、
お金もいるし、
どんな商売が自分に向いてるかわからないし、
それに…、
たて太郎
あー、だめだめ、
おめえの夢、まだ本気じゃねえや。
くるり
そんなことないよ。
たて太郎
でも、おめえの夢は、できねえ理由が先にきちまってるもん。
くるり
だって、気持ちはあっても、
こういうことは実際に大事な問題だよ。
たて太郎
あのなあ、人間ってのは、本当にやりてえと思ってることは、
できる理由から目につくんだよ。
反対に、本気で思ってないことは、できねえ理由から目につくんだな。
その違いで、自分が本当に、心の底からしたいと思ってるかどうかが、
わかるんだ。
これこれだからできねえじゃなくて、
これこれだからできる、って考えるもんがねえか？
くるり
何かあるかなあ。
たて太郎
たとえば、恋したときを考えてみなよ。
なんでも理由つけて、お近づきになる方法を、
考えちまうだろ。
最初から無理そうだとあきらめてしまう程度の恋なら、
本気とは言えねえ。
くるり
確かに、そうやって考えたら、
できない理由を先に見てしまうものは、
やっぱり本気ではないのか。
たて太郎
できねえ理由を見ることは、別にいいんだよ。
でも、それはひっくりかえすために見るんであって、
できねえ理由にするために見るんじゃねえや。
そう言われて、
「いや違う！それでもやりたいとは思ってる」
って反論したくなるようなら、
今しかできなかったらって思ってみるんだよ。
確かなのは、いつかやろうじゃ、
ずっとできねえってこと。
そして、できねえ理由を見ているうちは、
動けねえってこと。
くるり
そういう考え方になれば、
棟梁がおっかないなんてことも、
どうでもよくなるわけだ。
たて太郎
そこよ。
おいらだって、最初は怖い棟梁だからどうしようかって思ったけど、
いい仕事のできる大工になりてえという、
自分の気持ちは間違いねえ。
だったら、どんなに腹がたっても、どんなにつらくても、
たて太郎の名にかければ、頑張れる！
って、自分を信じることにしたんだよ。
くるり
大げさにきたねえ。
たて太郎
あったっぼうよ！
自分を信じるってことが、一番の強みになるんだって。
できねえ理由を見ているのは、
自分を信じていないところがあるわけだ。
だから、どうしたらできるかって考えになれねえんだよ。
くるり
言われてみれば、私は、
いつかお店を持てたらいいなあ、ってくらいで、
具体的に何ができるかって考えたことはなかったかなあ。
ということは、やっぱり、本気で思ってなかったってことだ。
じゃあ私が、できる理由から見つけていかれることって何だろう？
うーん、むずかしいな。
たて太郎
さっき言ってた、小さなほうなら、
できる理由を、どんどん見つけていかれるだろ。
くるり
でもね、そっちも、そうやって考えたら、
本気で思ってないみたい。
きっと、心の底では、それは私には必要ないことだって、
わかってんだと思う。
たて太郎
いや、それ、全然わかってねえぞ。
（発行マガジンより、若干手直しして本文のみ掲載しております。）
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