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あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義

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              あっぱれ長屋のプラス話 第89号   

              〜 人の目・神の目・自分の目 〜       
                                   2007. 9. 15    




  くるり
   みなさん、こんにちは。
   今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客様は、
   大工のたて太郎さんです。
    
  たて太郎
   みなさま、お元気でいらっしゃいましたか。
   大工のたて太郎でございます。
    
  くるり
   大変、私の耳がおかしくなってる。
   じゃなくて、たて太郎の頭がおかしくなってる。
    
  たて太郎
   てやんでえ!
   これがおいらの本当の姿だ。
   おいらは本当は、
   茶さじ郎もびっくりの品行方正なお兄様なんだよ。
   ここではみんなの期待を裏切らないように、
   江戸っ子の大工っぽくしてるだけで、
   今は、ついうっかり本性を出してしまっただけだ。
    
  くるり
   今さら、誰が信じられるでしょう。
    
  たて太郎
   人様にわかってもらえなくても、
   いいのです。
   神様は、きちんと私のことを知ってくださっているのですから。
    
  くるり
   ここまで、そういうのが似合わない人も珍しいね。
    
  たて太郎
   うるせいやい!
    
  くるり
   やっぱり、そっちが地だよ。
    
  たて太郎
   私もまだまだいたりません。
   神様、たて太郎はめげずに頑張ります。
    
  くるり
   わかった。
   また、普請場で足踏み外して落ちたんだ。
   そのときに、頭の打ちどころが良かったに違いない。
    
  たて太郎
   いいえ、落ちてはおりません。
   ただ、頭にがつんとくる話は聞きました。
    
  くるり
   では、そのお話をぜひお聞かせくださいませ。
    
  たて太郎
   くるりさんも、そういうのは似合いませんね。
    
  くるり
   よけいなお世話でございます。
    
  たて太郎
   で、その話だけどな、
    
  くるり
   突然戻るなってば。
    
  たて太郎
   棟梁の友達の宮大工の棟梁が教えてくれた話なんだ。
    
  くるり
   ややこしいね。
    
  たて太郎
   あるお寺で、お堂の修繕時に、
   天井絵を描くことになった。
   その絵は、参拝者が見ることができる部分はもちろん、
   祭壇の奥で参拝者からは見えない部分までも描かれるという、
   かなり凝ったものだ。
   絵師が入る頃は、
   宮大工は隣の建物の修繕に移っていたんだけどな、
   絵師が、精魂こめて描いていく様子を、
   仕事の合間に毎日眺めに行ってたそうだ。
   できあがっていく絵は、
   そりゃ見事なもんだったと。
    
  くるり
   あたりまえじゃない。
   へたくそでいいなら、私だって描けるよ。
     
  たて太郎
   おめえの絵なんぞ、頭の上に描かれた日にゃ、
   仏様も悪夢にうなされちまわあ。
   あまりに見事だったので、
   その宮大工の棟梁は思わず絵師にこう言った。
   「さすがだねえ。
    これだけの絵が描けて、
    それをお参りに来た人たちに見てもらい、
    喜んでもらえるのだから、
    おまえ様も描きがいがあるでしょう。
    でも、こう見事だと、
    参拝者から見えない部分の絵を描くときは、
    ちょっと張り合いがなくなるね。」
   すると、その絵師は、
   静かに微笑んで、こう言った。
   「人の目に触れる部分だから一生懸命描く。
    人が見ることのない部分だから、
    気が抜ける。
    これを、あなた方大工の仕事にあてはめたら、
    どうなりますか。」
  
  くるり
   棟梁、一本とられたね。
    
  たて太郎
   おう、その棟梁も、
   自分が馬鹿なことを言ったと反省するしかなかったそうだ。
   大工が家を建てることも、
   絵師が絵を描くことも、
   同じ意味を持つはず。
   もし、大工が人の目に見えない部分の手を抜いたら、
   いくら見える部分に気合を入れても、
   まともな家は建てられねえ。
   ちょっとのことで、すぐつぶれちまう。
    
  くるり
   まさに、今の世でいう欠陥住宅だ。
    
  たて太郎
   21世紀には、
   本当にそんな家を建てる奴がいるとは情けねえけど、
   自分という人間の、
   人目に触れない部分の手を抜いてしまったから、
   そういうもろい人間になってしまうんだ。
   その絵師は、こうも言ってたそうだ。
   「表は人にも見えるけれど、人が見られない裏は、
    神様と自分にしか見えないところとも言えるのです。
    そう思うと、張り合いがないなんて、
    とんでもないです。
    人間の場合でも同じで、
    人が見るところだけ一生懸命になっても、
    見えないところで手を抜けば、
    人間の抜け殻にしかなれません。
    見えないところにも、しっかり自分がいてこそ、
    表の自分という人間が成り立つのです。 」
    
  くるり
   人に見られる、見られないですることが変わるのは、
   人の目で自分という人間を創ってるのと同じだからだね。
   だから、裏に本当の自分がいなくなって、
   無責任になっちゃうんだよ。
 
  たて太郎
   おめえにしては、いいこと言うじゃねえか。
   でも、おめえらは、
   神様が見ているとか言っても、
   ぴんとこねえだろ。
   その絵師が言うにはな、
   その神様の目ってのは
   実は自分の目なんだと。
   なぜなら、見えないところだって手を抜かないのは、
   神様が見ているからというより、
   自分が納得できないことだからとか、
   自分に恥じない行動はしたくないからってのが、
   本当のところだろ。
   それは、しっかり自分を持ち、
   自分の目で自分を見てるから、そう思えるんだ。  
   それこそが、自分の中の神仏に通じる目だそうだ。

  くるり
   そういう自分がいることを意識できるからこそ、
   その中の神仏が意識できて
   神様に喜んでもらいたい思いで描けるんだ。
   それが信仰心なんだね。
   神様が見ているから悪いことはしないのでは、
   人の目で自分を創るのと同じことだもんね。  
  
  たて太郎
   人間って、自分を見失いそうになった時、
   神様にすがりたくなるだろ。
   それは、自分の中に神仏がいることを思い出し、
   自分を取り戻すためなんだよ。
   それなのに、自分を取り戻すことをすっ飛ばして、
   ひたすら神様頼みになっちまうのが、
   ゆがんだ信仰にはまってしまう状態だ。  
  
  くるり
   その絵師さんの言動から、
   いろいろ見えてくるね。
   ご隠居が「人は皆仏の化身」と言ってたけど、
   本来の人間とは自分の心の中に、
   神仏と同じ心があるものなんだね。
  
  たて太郎
   まさに、その絵師は紙一重ならぬ神一重、
   いや神人重の人だと思う。
   宮大工の棟梁はな、
   その絵師が人目に触れない部分に描いている絵を見られたことも、
   とてもありがたく思えたそうだ。
    
  くるり
   それは、参拝客なら見られない絵を見たから、
   得した気分になったんだよ。
    
  たて太郎
   おめえならそうだろうけど、
   その人だって棟梁だ。
   そんな浅い見方はしねえよ。  
   人目に触れても恥じないものだからこそ、
   人目に触れないことで、
   価値がさらに高まることに気がついたんだ。
   つまり人間なら、
   自分の徳を人におおっぴらに見せてるより、
   表立たせないことに価値が出てくるのと同じことだ。
    
  くるり
   そうか。
   自分の徳を人に見せたいと思うのも、
   人目で自分を創ろうとしてる行為と同じだもんね。
   だから、自分が満足することだけでは、
   完結できないんだ。
   
  たて太郎
   大工としても、人としても、
   その精神は忘れずにいてえもんじゃないか。
   おいらは、
   見かけはいいが、中はぼろぼろっていう家を建てる大工には
   なりさがりたくねえし、そんな人間にもなりたかねえ。 
   でも、おいらの場合は、
   せっかくしっかりした基礎工事をしながら、
   人目に触れる部分を、
   かなり雑にしてるってことに気がついたんだ。
    
  くるり
   それで、お行儀良くしようというわけ。
   でも、今さら品行方正の造りにしても似合わないよ。
    
  たて太郎 
   悪かったな。
   それを言うなら、おめえもだぞ。
   人目を意識しなきゃいけねえ化粧だって、
   へたくそな絵を描いてるようなもんなんだからな。
  
  くるり
   おまけにその絵の下に隠された造りは雑だし…って、
   何言わせるかい!
   
  
 (発行マガジンより、本文のみ掲載しております。)


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