あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
やる気を流し込みたい時向き編 
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あっぱれ長屋のプラス話 第108号
〜 夢・望み・目標 〜
2009. 1. 22
くるり
みなさん、こんにちは。
発行人多忙のため、遅れてしまってすみません。
私がさぼっていたわけではありませんよ〜。
さて、今年最初のあっぱれ長屋からのお客様は、
おなか茶屋のおなかさんです。
なか
なかです。
今年も、あっぱれ長屋一同、
江戸から通ってまいりますので、
よろしくお願い申し上げます。
くるり、風邪などひいてないかい？
くるり
え？
おなかさんらしからぬ優しさ。
なか
どういう意味かな。
でも、くるりに、
優しくしようかなとは思ってるけどね。
くるり
なかなかいい抱負だね。
なか
本来の私を出すだけのことです。
抱負といえば、くるりの抱負は？
くるり
まだ、考えているところ。
なか
今頃になっても、そんな調子なら、
このまま暮れまでいくね。
くるり
このままいくわけありません。
暮れにはとっくに忘れてる。
なか
忘れるのは、
抱負を決めていても同じ。
くるり
よくご存知で。
でも、抱負なんてのは、
お正月明けたら、
忘れる人のほうが多いんだから。
なか
抱負というのは、
抱いて負うと書くのだから、
常に一心同体にあるもの。
忘れる程度のものは、
抱負ではなく、思いつきに過ぎません。
だから、達成できなくても当然。
くるり
なら、抱いても負っても楽な、
軽いものにしておけばいいんだよ。
なか
そうだね。
くるり
むむ？
怒らないところをみると、
本当に優しくなったのかな。
なか
くるりの場合は、それでいい。
その程度がせいぜいなんだよ。
今まで、それに気がつかなかった私が間違っていた。
これからは、踏み込んだお話をするときは皆さん向けだけに、
易しいのはくるり向けに、と分けることにするから。
くるり
もしかして、
優しくするってのは、
易しくすることでもある？
おなかさん！
大丈夫ですから、私にも踏み込んだお話を〜。
なか
無理しないでいいよ。
くるり
無理します！
じゃなくて、無理しないでもついていけます！
なか
では、まず、夢から実現までの過程というのを、
考えてごらん。
何かを実現させる最初の段階は、
こうなったらいいなあという夢から始まる。
たとえば、くるりの今の夢は？
くるり
大食いの女の子を返上したい。
あ、これを今年の抱負にしよう。
なか
女の子ってところは、とっくに返上できてるから、
「大食いを返上する」だけでいいよ。
くるり
とっとと次にいきましょう。
なか
でも、夢のうちは、まだ漠然としている。
それが煮詰まってくると、
次は、希望とか願望とかいう望みの形に変化していく。
そうなると、もう少し具体的になってくる。
くるり
それなら私の夢は、
そこまで来てるよ。
具体的な望みとしては、
一口ご飯を食べて、
「あ、もうおなかいっぱい」
って言えるようになってみたいの。
なか
それじゃ、病人だよ。
くるりの場合は、
病気になってもありえないことだし。
そんな無理な望みじゃなくて、
丑年にちなんで、
牛並みの食欲を人並みにしたい、で充分。
くるり
次、いきましょう。
なか
さらにそれが煮詰まると、
もっと、本格的具体的な目標という形になる。
ここまで来て、ようやく実現へ向けて、
実際に動き出せることになる。
夢や望みの状態のものを抱負としたとき、
その抱負に向かって動くためには、
この目標がなくては動けない。
気持ちがそこまで煮詰まっていれば、
自然にしてるんだけど、
そうでないと、思うだけになるんだね。
くるりだって、ただ小食になるという抱負だけでは、
結局うやむやになる。
くるり
私は、程度の高い人間なので、思いつきました。
だったら、最初から抱負を、
目標という形にしてたてればいいんだよ。
今年の抱負は
「ご飯を毎食五膳でやめる。
ただし、六膳でもまあ大目にみる。」
なか
それのどこが小食になる目標なんだい。
しかも、但し書きがつく抱負なんて初めてだし。
確かくるりが三年前に、
ご隠居のおかみさんに語った抱負は、
一日で十膳にするだったよ。
毎食五膳で制限とは、
いったい、一日何膳になってるんだろうね。
くるり
変なところ物覚えがいいんだから。
言った本人が忘れてるのに。
でも、おなかさん、
ねたはばれてるよ。
江戸時代の人のご飯を食べる量って、
今の人と比べたら、ずっと多いんだよね。
おなかさんだって、一回に五、六膳くらい食べちゃうこと、
あるんじゃないのかな〜。
なか
言っとくけどね、
私たちは、２１世紀の人に比べれば、
おかずが、ずっと粗食で少ないの。
それでいて、体を動かす量はずっと多い。
さらに、三度ともご飯が基本。
食べる量が違ってくるのは、
当然じゃないか。
だいたいそれにしたって、私は毎食五膳は食べないよ。
それを言うなら、くるりも
私たちと同じ生活をしなさいね。
くるり
わ、とんだやぶへび。
やっぱり、おなかさんには打ち負かされる
私の運命…。
なか
打ち負かしてなんかいないよ。
くるりが自分で言って、自分で転んでるだけじゃないか。
抱負が達成できないのも、似たようなもんだね。
抱負とは、自分が決めて、
自発的に自信をもってやること。
決して、誰かにやらされることではない。
それなのに、動くことができないのは、
抱負ではなく、自分に原因がある。
くるり
自然に目標が出てくるほど、
まだ気持ちが煮詰まってない、ってことだよね。
なか
そうだよ。
くるり
生煮え状態で無理やり出してきても、
とても消化できるものではないから、
栄養にならずに動けない。
これはまずい。
なか
あら、よくわかってるね。
ちょっと見直したよ。
くるり
でも、いくら私が大食いでも、
まずくて消化できないものまでは食べないから大丈夫。
なか
？…もしもしくるりさん、
念のため確認しますが、
気持ちの話ではなく、料理の話に移行してません？
くるり
あれ？
あ、そうだ、
気持ちを煮詰める話だった。
なか
どこまで食い意地がはってることやら。
だから、とりあえず、
煮詰まった部分だけ、
取り出せばいいんだよ。
あ、これは気持ちのことだよ。
くるり
でも、煮詰まった量は、ほんのわずか。
なか
実行できない大変な目標より、
実行できる簡単な目標。
たとえ 恥ずかしいほどわずかでも、
何もしないよりは、
夢に近づいた事実となる。
気持ちが強ければ、
夢が願いに、願いが目標になって実現に向かうことができるけど、
そうなれないなら、
とにかく簡単な目標の実行を積み重ねて、
目標側から逆に、願いや夢に近づいていくんだよ。
くるり
できそうな簡単なものにするのは、
あながち間違ってなかったじゃない。
なか
でも、くるりの場合は、そこで終わってしまう。
これは、そこで終わらないってことが条件だよ。
動けない目標では、ないのと同じだから、
わずかでも、動ける目標を積み重ねて進んでいく。
今の自分は、
どの程度のことなら無理せずできるかな、
と考えて実行する。
そうやって、
抱負のためのことをしたり考えることは、
常にそのことを意識していることにもなるから、
忘れることもない。
くるりも、
いきなり五膳なら大丈夫なんて言ったところで、
お茶碗が丼になってる可能性が高いから、
一口からでもいいよ。
くるり
おなかさん、私を過小評価しちゃあいけません。
今、話しているうちに閃きが、強力な火力になって、
一気に煮詰まりました。
毎食五膳どころか、三膳で大丈夫です。
もちろん、お茶碗で。
ちょっと気をつければ、易しいもんです。
なか
易しいというか、
普通は気をつけなくても、
その程度までの範囲内に収まってる人が多いと思うけど。
それにしても、さっきまで、五膳で但し書きをつけてた人が、
三膳なんてできるのかい？
くるり
できます！
だから、おなかさんも、
抱負は達成してよね。
なか
もちろんだよ。
くるりがそこまでやる気になったのなら、
お互い、気合を入れてね。
くるり
しめた！
これで今年は、
やりたい放題。
なか
なに放題だって？
くるり
いえ、こちらの話。
必ずや、一食三膳まで達成します！
これまでの一日三食を五食に増やせば、簡単にできます！
なか
やっぱり、今年もこれまでどおり、
いやこれまで以上に厳しくたたきなおす！
くるり
そう来ると思った。
でもね、おなかさん、
となると、
私に優しくすると決めたおなかさんの抱負は、
単なる思いつきってことになるよ。
おなかさんも口先ばかり？
やった、これで今度こそ、おなかさんに勝った。
なか
ちょいとお待ち。
くるりに優しくするのが抱負だなんて、
私は、一言も言ってないよ。
ちゃんと人の話を聞いてたかい？
くるり
え！
わ、ほんとだ。
なか
言っとくけどね、私の抱負は、
くるりの根性をたたきなおすこと。
そのための行動目標を模索するために、
優しくしてみたの。
それでわかったよ。
へそまがりのくるりは、
易しくすると、あせって一生懸命やろうとする。
一方、優しくすると、つけあがる。
だから、易しく、厳しくいくことを肝に命じていこう。
ところでくるり、目標は三膳でいいんだね！
くるり
いや、それはちょっと待って。
なか
自信ないんでしょ。
だから、最初に言ったように、易しくていい。
一口分よそうのを減らす程度で。
くるり
それもね…
なか
え、それでも自信がないのかい？
一口だよ。たった一口。
くるり
たった一口と言っても、
お茶碗半分になるからねえ。
なか
もう一つ、肝に命じなくては。
くるりを普通の人間と思ってはいけない。
話す牛だと思え。
（発行マガジンより、本文のみ掲載しております。）
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