あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義
幸せになりたい時向き編 
バックナンバー総覧へ |
メルマガ登録はのほ本屋から
あっぱれ長屋のプラス話 第78号
〜 いい人になっている 〜
2007. 1. 27
くるり
皆様、こんにちは。
今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客様は、
おめでた屋のご隠居で、大家の棚ぼた衛門さんです。
ねえ、ご隠居さん！
私、すごいことを知ってしまったんだけど、
ご隠居って、江戸では、仏のぼた衛門って、
言われてるってほんと？
ぼた衛門
それがおかしな話なんだ。
まず、人間は皆、仏の化身と考えて尊重するのが、
江戸の考え方なんじゃ。
だから、わしは、人様を仏の化身として尊重してきた。
そしたら、どういうわけか、
わしが生き仏と呼ばれるようになってしまったんだな。
くるり
みんながそう考えてる社会の中で、仏と呼ばれるのは、
もっとすごいことだと思いますけど。
ぼた衛門
だが、わしは人様に対して、
自分のできることをさせていただいてきただけなんじゃ。
おめでた屋だって、そうだ。
人様の役に立ついい物を安く売ったら、
喜んでもらえるというところから始まった。
くるり
ご隠居さん、
今まで、ただのとぼけたじっさまだと思っててすみません。
煮ても焼いても食えないじっさまだと思ってたのもすみません。
ぼた衛門
正直だとほめていいのか、悪いのか…。
だけど、そんなことは、人様を尊重した生き方をすれば、
誰だってできることなんじゃ。
くるり
いや、頭ではわかっていても、なかなかできないことだよ。
まして、２１世紀では、
自分さえ良ければって考え方がはびこって、
人は仏どころか、人はほっとけー、
って感じなんだもの。
そんな中で、自己犠牲までして、
人様のためにって人は希少価値。
ぼた衛門
わしだって、自己を犠牲にしてまではやっとらんぞ。
人を助けるといっても、自分にできないことまではやれない。
自分にできることは何かを考えて、
できることだけをしてるんじゃからな。
おめでた屋の商売だって、
本当に仏様相手と考えたら、お金などもらえるものか。
かといって、儲けのない商売はできぬじゃろ。
自分にできることは、いい物を安く売ることくらいだ。
だから、そうしてきただけのこと。
くるり
でも、人のために何かしてあげようとしたら、
そのために時間を割くわけだし、
安く売れば、それだけ儲けが減るし、
何かしらは自分が犠牲にするものがあるよ。
それを犠牲にしていると思わないから、
できることなんじゃないかな。
ぼた衛門
思うも思わないも、
違うことに時間を割くことで、広がりができて、
得るものも多くなるし、
安く売ることで、かえってお客さんが増えるし、
何も犠牲になっとらん。
それに、人様が仏の化身と考えると、
ずっと楽で幸せな生き方ができる。
そういう意味でも、
自分を救うことはあれ、犠牲にすることはないけどな。
くるり
なんで、楽で幸せな生き方になるの？
ぼた衛門
人様のために何かできてお役にたてた時、
不愉快な心持ちになるか？
「気分良くした心持ち」の中にいさせていただけるじゃないか。
これのどこが、幸せでないと言うんじゃ？
くるりが言うように、
自分を犠牲にして人様のお役にたつと考えるのは、
同じ言い方でも字が違う。
「気分、欲、下心持ち」なんだ。
だから本来の幸せとはならない。
くるり
ご隠居、ひょっとして字遊びですか？
強引な当て字とも、素晴らしいとも言える漢字、
いや、感じだね。
自分を良く見せたいではなく、自分を欲見せたい、
字が違うではなく、自我違う。
ぼた衛門
おまえの頭は、遊びと思ったとたんに、急に回転良くなるのか？
よくそんな、ぽんぽん出てくるなあ。
まあ、くるりにしては上出来だとは思うが、
わしは、字遊びで言っておるわけじゃない。
くるり
ともかく、変な邪心は持たないで、
いい人間になるために、いいことをしようと考えればいいんでしょ。
ぼた衛門
いや、それも、
気分欲下心持ちじゃ。
くるり
え、それもいけないの？
いい人間になりたいって考えて行動するのは、前向きだと思うけど。
ぼた衛門
いいことができるようになるから、いい人間になるんだ。
同じことのようだが、この順番の違いは大きい。
気分欲下心持ちになってるかどうかってのは、
自分で気がつくことは、案外、難しいんじゃ。
だが、人様は皆仏の化身と考えるところから始まる行動なら、
そういう邪心の入りようもなくなる。
くるり
でも、仏の化身とは思えない、
腹のたつ人もいるでしょ。
嫌な気分にさせられた人に対しては、
その人のために何かしてあげる気には、
なかなかなれない。
ぼた衛門
それこそが、楽になるところなんだ。
不快な思いをさせられる相手も、
仏の化身と考えれば、あまり腹がたたなくなるもんじゃ。
この仏の化身は、自分に何を教えようとしているのか、
何を求めているのか、という見方をするようになるから。
くるり
そこまでいくと、悟りの境地に入ってるような…。
人間は感情の生き物だから、
どうしても、感情が先に来てしまって、
そういう気持ちになるのは大変だよ。
ぼた衛門
だって、気分良くした心持ちになれるのも、
感情じゃろう。
くるり
じゃあ、人間が仏の化身ということなら、
もちろん自分も仏の化身ということになるよね。
それなのに、人ばかり尊重して、
自分が尊重してもらえなかったら、
やっぱり、どこか納得できないところが出てくると思うけど。
ぼた衛門
もちろん、自分は、いつだって確実に尊重されていなくてはならない。
くるり
そうでしょ！
ぼた衛門
だが、自分の尊厳は人様によって、
左右されるものではない。
確実にいつも尊重するためには、
自分は自分で尊重するんだ。
つまりそれは、自分の人格を貶めたり、
傷つけたりするようなことはしないってことじゃよ。
くるり
なんだか、ますます厳しくなってしまった。
ぼた衛門
なに、そんなむずかしく考えなくたって、
それも、人様を尊重できる人間になることで、
結果的に、自分を尊重することになるじゃないか。
くるり
なるほど、そこでまた、人は皆仏の化身が出てくるんだ。
いい人になろうとするのではなく、
いい人でいようとするのでもなく、
ただ、人様を尊重して、
自分ができることをする人になればいい。
そういうことだね。
ぼた衛門
その通りじゃ。
それに、自分が仏さまの化身と考えたら、
どう思う？
くるり
私はきっと、美しくて慈悲深い仏さまなんだろうなあ、
と思う。
ぼた衛門
ほんとに、おめでたい奴じゃ。
仏に戻った時に、恥じることのない生き方をしなくては、
くらいのこと考えろって。
くるり
そっちでしたか。
あれ？あ！そうか。
ありがたや、ありがたや、
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…。
ぼた衛門
な、なんだ、急にわしを拝みだして…。
くるり
今の話で気がついたの。
江戸では生き仏とされているご隠居だけど、
２１世紀に来た以上は、本物の仏さまになってるのと同じじゃない。
本物の仏さまなら、なお尊重しなければ。
そうだ、こう見えても、私、般若心経を唱えることができるんだよ。
いいご供養になると思うから、お経をあげさせてもらうね。
かんじ〜ざいぼ〜さ〜つ〜…
ぼた衛門
ちょ、ちょっと待て、まだ早い…、
あ、そうだ、早いといえば、
今日は早く江戸に戻らないといけなかったんだ。
もう、速攻でぴゅーっと帰んなきゃいけなかったんだ。
急いで帰らねば、大変、大変…。
くるり
私にはこれくらいのことしかできないんだから、
ぜひ拝ませてよ、ご隠居さ〜ん！
（発行マガジンより、本文のみ掲載しております。）
| 前←幸せになりたい時向き編 | 幸せになりたい時向き編→次 |
ランダムで読まれる場合は、以下よりお選びください。 |
|
バックナンバー総覧へ |
|
| １ 気分がのらない時向き一覧 | ２ 失恋や希望を失ってる時向き一覧 |
| ３ 憂鬱で毎日に嫌気がさした時向き一覧 | ４ 迷ったり悩んでいる時向き一覧 |
| ５ やる気を流し込みたい時向き一覧 | ６ 幸せになりたい時向き一覧 |
メルマガ登録はのほ本屋から |
このページのＴＯＰへ |
 |
 |
|