メルマガ「あっぱれ長屋のプラス話」より 気分で読むバックナンバー


あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義

 幸せになりたい時向き編  





バックナンバー総覧へ


メルマガ登録はのほ本屋から



  
 
             あっぱれ長屋のプラス話 第101号   

                  〜 価値を決めるもの 〜       
                                 2008. 5. 25     


  

  くるり
   みなさん、こんにちは。
   今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客さまは、
   おなか茶屋のおなかさんです。
  
  なか
   こんにちは。
   今日はね、私が考えたお話だよ。
  
  くるり
   おなかさんの作ったお話は、
   初めてだね。
  
  なか
   たて太郎たちが時々作ってたけど、
   女性陣からは、これまで一つもなかったから、
   私が第一作目を作ったんだよ。
   それじゃあ、始めるよ。
   あるところに、
   おなか茶屋というお茶屋がありました。
  
  くるり
   そのまんまですけど。
  
  なか
   その店のおなかさんは、
   それはそれは美しい人で、
   日本中からおなかさん見たさに押しかけた人で、
   お茶屋は、いつも大繁盛しておりました。
   おなかさんはあまりに美しいので、
   惚れる男たちはいても、
   嫁にもらうには、気後れしてしまうほどでした。
  
  くるり
   やっぱりそのまんまではないや。
  
  なか
   ここまでは、そのまんまです。
   だから、私は嫁にいかれないの。
  
  くるり
   え?
  
  なか
   そんなおなかさんにも、
   ようやく白馬の殿様が現れました。
  
  くるり
   だんだん聞く気が失せてきた。
  
  なか
   「私が捜し求めた姫よ、
    我がお城へ来てください。」
  
  くるり
   話と言うより、妄想?
  
  なか
   黙ってお聞き!
   何しろ、殿様ですから、
   おなかさんも悪い気はしません。
   はるか彼方の殿様の国に行くことになりました。
   殿様の国に着くと、
   おなかさんは目を見張りました。
   住民達の家はもちろん、生活道具も、
   すべてが金銀宝石で作られているではないですか。
   道では子供が石蹴りならぬ、金蹴りで遊んでいます。
   「と、と、と、と、殿様!」
   
  くるり
   おなかさん、声が上ずってます。
  
  なか
   ごめんなさいよ。
   考えただけで、興奮してしまった。

  くるり
   架空のお話ですから。

  なか
   「殿様、ここは宝の国ですか。」
   驚いて尋ねるおなかさんに、
   白馬の殿様はこう言いました。
   「この国は、金銀宝石の鉱石などはごろごろしていますが、
    土というものがあまりありません。
    ですから、木も貴重品です。
    つまり、ここでは、木や土からできるものの方が、
    高級な宝物なのです。
    私から見たら、それらを贅沢に使い、
    家や道具を作っているあなたの国のほうが、
    宝の国に見えますよ。」
  
  くるり
   その国と商売したら、
   すごい儲かるね!
   
  なか
   くるりさんこそ、声が上ずってます。
   架空のお話ですから。   
   殿様の言うとおり、
   おなかさんの持ってきた、
   ごく普通の、木でできた道具や、
   土からできた陶器にも、
   ここの人たちは目を見張りました。
   そして、おなかさんの美しさには、
   もっと目を見張りました。
  
  くるり
   そこからは、離れましょう。
  
  なか
   ここだけは、離れるわけにはいかないの!
   不思議なもので、
   毎日金銀宝石が溢れる国で暮らすうちに、
   おなかさんも、それらより、
   木や土でできたもののほうが、
   高級品に思えるようになってきました。
   まばゆいばかりの中にいると、
   木や土のぬくもりが、
   たまらなく贅沢に思えてくるのです。
   それに、金のお茶碗と宝石のお箸で食べるお茶漬けより、
   陶器のお茶碗と木のお箸で食べるお茶漬けのほうが、
   ずっとおいしいのです。
  
  くるり
   発想が、どこか庶民から抜け切れていない。
  
  なか
   おなかさんは、
   金銀宝石の美しさそのものに、
   すべての価値を見出していたのではなく、
   それらが希少であり、高価で簡単に手に入らないことで、
   宝物と思っていた部分も、かなりあったことに、
   気がつきました。
   
  くるり
   考えてみれば、
   金銀宝石も、木や土も、
   自然のものであるところは、
   変わりないんだよね。
  
  なか
   そうだよ。
   どれも有用な自然の恵みであり、
   適材適所に使うことで、価値を見出すのが本当なのに、
   人間の余分な思いが、その価値感をゆがめてしまうんだよ。
  
  くるり
   それって、人間の見方にも言えることだね。
   本質以外のところで価値を推し量っていることって、
   けっこうあると思う。
  
  なか
   そうだね。
   話に戻るよ。
   おなかさんは、価値とは、
   ひとえに人間の思いという、
   実にあいまいな基準で支えられているものであることに、
   気がついたのです。
   そして、自分が美人だとちやほやされるのも、
   同じことにすぎないと気がつきました。 
  
  くるり
   そうそう、美人の基準は、
   時代によっても、人によっても変わるし、
   いつまでも美しいわけじゃないし。

  なか
   くるりがそう言うと、やっかみに聞こえるよ。
   そこでおなかさんは考えました。
   正直言って、自分は美人だから、
   殿様にみそめられたとちょっと誇らしかった。
   でもそれは、殿様が、
   自分という人間そのものの真価ではないところに、
   自分の価値を見出しているということにもならないか。
   そう思うと、ふさぎこんでしまいました。
  
  くるり
   本当のおなかさんだったら、
   そんなに柔じゃない。
  
  なか
   おだまり。
   殿様は、ふさぎこんだおなかさんを、
   大層心配してくれました。
   そこで、おなかさんは勇気を出して、
   殿様に尋ねました。
   「殿様、もし私が世間から美人と言われる女でなかったら、
    殿様は私に関心を払い、
    こうして迎えてくれたでしょうか。」
   すると殿様もこう言いました。
   「おなか姫」

  くるり
   絶対に、美人とは思えないお姫様だ。
 
  なか
   「もし私が殿様でなかったら、
    おなか姫は、私のところに来てくれたでしょうか。」
   おなかさん、答えにつまってしまいました。
  
  くるり
   殿様だから、内心悪い気はしなかったのは事実だもんね。 
   
  なか
   殿様も、二つの社会を見て、
   そのことに気がついていたのです。
   「私があなたを知ることになったのは、
    確かに美人の評判ですが、
    それは、きっかけにすぎません。
    私は、あなたの美しさではなく
    お客さんを幸せそうな笑顔にさせる姿に惹かれました。
    もし、あなたがくるりさん程度だったとしても、
    同じことをしていたなら、
    やはり惹かれたでしょう。」
  
  くるり
   ああそうかい。
  
  なか
   だから、私も、
   あなたが本当の私を見てくれているか、
   実はずっと気になっていたのです。
   確かに、価値は人の思いで決まるものです。
   でも、大切なのは、その思いが、
   純粋にそのものに向いているものか、
   意図の混じった思惑になっているかということです。
   でも、こうして、相手の思いが気になることが、
   私たちが、純粋な思いで見つめあいたい気持ちのあらわれ。
   私達は、たとえ乞食と不美人になっても、
   うまくやっていくことができるでしょう。
   こうして、二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。
   おしまい。
   
  くるり
   おなかさんにしか、
   作れそうもない話だ。   
   
  なか
   この話のすばらしいところはね、
   もっと奥深いところにもあるんだよ。
   こんなへたくそな話のおかげで、
   今日の会話は、
   私がぼけ役になって、
   くるりを賢そうにも見せてるんだよ。
   身を挺してくるりを救おうとする、
   この深い愛情がわからないようでは、
   私の価値を真実の目では見てないってことだね。  
 
  くるり
   ものは言いようだなあ。
   
  なか
   おなか姫が美人ということにこだわったのも、
   そういう設定でないと困るわけが、      
   わかったでしょ。

  くるり
   それはわかったけど、
   名前が「おなか姫」という設定である必要はないと思う。 
  
   
   

   
 (発行マガジンより、本文のみ掲載しております。)


前←幸せになりたい時向き編 幸せになりたい時向き編→次

ランダムで読まれる場合は、以下よりお選びください。

バックナンバー総覧へ

1 気分がのらない時向き一覧 2 失恋や希望を失ってる時向き一覧
3 憂鬱で毎日に嫌気がさした時向き一覧 4 迷ったり悩んでいる時向き一覧
5 やる気を流し込みたい時向き一覧 6 幸せになりたい時向き一覧

メルマガ登録はのほ本屋から

このページのTOPへ





あっぱれぷらすサイト HOME TOP
 あっぱれ長屋へいらっしゃい案内  ぷらっとぷらす小路入口案内
 ・あっぱれ長屋のご隠居大家夫婦 
 ・あっぱれ長屋流明るい悩み方の鉄則
 ・おなか茶屋
 ・ある日のあっぱれ日誌
 ・メルマガ「あっぱれ長屋のプラス話」気分で読む バックナンバー
 ・のほ本屋
 ・松竹梅子の小遣い稼ぎの口入屋
 ・和・は・は
 ・オリジナル&メモリアル
 ・やる気元気癒しのCD伝言板
 ・楽して楽しく覚える英語
 ・SOHOやる気まん店
 ・はっけよい八卦良い占い部屋
 ・七福神占い
 ・潜在おみくじ










和・は・は ぷらっとネットショップ
あっぱれ長屋へいらっしゃい!

HOME あっぱれぷらすサイト案内


ご隠居大家夫婦

あっぱれ長屋流悩みに出会ったら


あっぱれ長屋の住人たち

あっぱれ長屋流明るい悩み方の鉄則


おなか茶屋

あっぱれ長屋流人生の進み方


メルマガ 「あっぱれ長屋のプラス話」
気分で読むバッグナンバー総覧


おまけ
ある日のあっぱれ日誌


ぷらっとぷらす小路

のほ本屋


松竹梅子の小遣い稼ぎの口入屋


和はは


オリジナル&メモリアル


やる気元気癒しのCD伝言板


楽して楽しく覚える英語


SOHOやる気まん店


はっけよい八卦良い占い部屋


七福神占い


潜在おみくじ



サイトマップ