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あっぱれ長屋の江戸っ子たちと現代人くるりのドタバタ人生談義

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                 あっぱれ長屋のプラス話 第109号   

                    〜 苦しいのは自分 〜       
                                    2009. 2. 24 


  
 
   くるり
   みなさん、こんにちは。
   今日のお江戸あっぱれ長屋からのお客様は、
   姉さんのおなか茶屋を手伝うおとめちゃんです。
  
  とめ
   こんにちは。
   今日は、まずお話を一つ聞いてね。
    
  くるり
   いつか姉さんのおなかさんがしてくれた話は、
   美しいお姫様に、
   ちゃかり自分の名前がついてたけど。
    
  とめ
   おなか姫だったけ。
   じゃあ、今回は、
   くるりさんと私の名前を使おうか。
  
  くるり
   うん!
   今度は、おとめ姫とくるり姫だわ。
    
  とめ
   あるところに、二軒の家があり、
   二人の男が住んでおりました。
    
  くるり
   出てくるのは男かい。
    
  とめ
   一方の家に住んでいるのは、
   とめ太郎という
   学問に秀でた頭のいい男で、
   もう一方の家に住んでいるのは、
   くるり太郎という、
   字も読めない頭の悪い男でした。
    
  くるり
   ちょっと待った。
   名前を入れ替えてくれません?
    
  とめ
   しょうがないわね。
   では。
   頭のいいくるり太郎と、
   頭の悪いとめ太郎が住んでおりました。
    
  くるり
   よしよし。
    
  とめ
   頭のいいくるり太郎でしたが、
   それを自慢して、鼻持ちならないところがあったので、
   大変嫌われておりました。
    
  くるり
   どうして名前が変わった後に、
   そうなる。
    
  とめ
   一方のとめ太郎は、
   家が貧しくて、働きづめのため、
   寺子屋すら通えなかったのですが、
   何一つ不満に思うことなく、
   いつもにこにこして、
   決して怒ることがありません。
   みんなが嫌うくるり太郎のことも、
   ただ一人敬っていました。
  
  くるり
   それはありがと。
     
  とめ
   ある朝のことです。
   くるり太郎が外に出ると、
   家の前に張り紙がありました。
   見るとそこには、
   「馬鹿の住み家」
   と書いてあるではありませんか。
   くるり太郎は、かんかんに怒ってそれを引き剥がしました。
    
  くるり
   それは、性格が悪くない人でも怒りますわよ。
    
  とめ
   そしてくるり太郎は、
   腹立ちまぎれに、それを隣の家に張りました。
    
  くるり
   そりゃ、性格悪くない人でもそうし…
   ないよねえ、普通。
   くるり太郎ってそこまで嫌な性格ですかあ。
    
  とめ
   しかもくるり太郎は、
   隣の男がどうするかをこっそり見ていました。
    
  くるり
   あの、やっぱり名前を戻していただけません?
    
  とめ
   話が混乱するから、もうだめです。
   やがてとめ太郎が出てきて、紙に気がつきました。
   不思議そうに、
   しばらく眺めていたとめ太郎でしたが、
   なんとその紙に向かって手を叩いて拝みだしたのです。
   くるり太郎はおかしくなりました。
   とめ太郎が、字を読めないことを思い出したのです。
    
  くるり
   わー、くるり太郎って、どこまで嫌な奴なんだ、
   ただ一人敬ってくれるとめ太郎まで、
   笑いものにするなんて。
  
  とめ
   その時、近くを通った殿様の家来が、
   張り紙を拝んでいるとめ太郎に気がつき、
   不思議に思って声をかけました。
   「おまえは、なぜこの紙を拝んでいるのか?」
   「へえ、どこかのご親切な方が、
   字には縁のなかったあっしに、
   何か書いていってくれたので、ありがたくて。」
   家来は笑って言いました。
   「そうか、おまえは字が読めぬのか。
    確かにこれは字だが、
    馬鹿の住み家と書いてあるのだぞ。」
    
  くるり
   とめ太郎さん、がっかりだね。
    
  とめ
   ところが、彼はがっかりするどころか、
   なお笑顔になりました。
   「そうですか。
    それなら、なおあっしに書いてくれたものです。
    あっしは間違いなく馬鹿ですから。」
    
  くるり
   とめ太郎は、学問を知らなくても、
   人間的には馬鹿でないね。
   名前は譲ってあげたけど、
   さすが、元はくるり太郎を名乗る予定だった人だけある。
    
  とめ
   名前を入れ替えてくれとは言われましたが、
   譲ってもらった覚えはありません。
   さて、家来は、
   なんの気なしに殿様にこの話を伝えました。
   すると殿様は、大層驚いて、
   すぐさまその男を城に召し上げるようにと言いました。
   実は殿様は、
   「馬鹿の住み家と書かれた張り紙の家の者を草履取りにすれば、
    国の足元は安泰」
   という夢を見たところだったのです。
    
  くるり 
   えー!
   くるり太郎こそ、
   頭が良くたって、
   本当は大馬鹿者じゃない。
   根性曲がってるばかりに、
   せっかくの出世の機会をふいにして。
   図々しく人の名前を使うなら、もっと言動に注意して!
        
  とめ
   くるり太郎が、勝手に使ったわけじゃないですけど。
   さて、びっくりしたのはとめ太郎。
   字も読めない自分がとんでもないと、
   辞退したのですが、
   殿様の命とあって、
   お城に上がることになりました。
   が、彼の持ち前の人柄の良さは皆に愛され、
   学問も身につけることができました。
   下々の世情にも通じていた彼は、
   やがて草履取りから重臣にとりたてられ、
   殿様を補佐して、国のために尽くしたので
   本当にその国は安泰になりました。
  
  くるり
   草履取りから出世なんて、
   豊臣秀吉じゃあるまいし。
   で、くるり太郎は、どうなったの?
    
  とめ
   一方の、くるり太郎、
   自分より愚かな男に
   運を持ってかれてしまったと逆恨みし、
   自分はなんと運が悪いんだと、
   鬱々とした気持ちを抱えたまま、
   ますます嫌な性格になっていきましたとさ、おしまい。
    
  くるり
   それで終わってしまうんですかー。
   なによ、その話。
   ただ普通に、人の道を説いただけの話だし。
   「どんな優秀でも、
    くるり太郎みたいに驕り高ぶってはいけませんよ」
   「どんな境遇でも、
    とめ太郎みたいに悲観してはいけませんよ」
   ってことでしょ。
    
  とめ
   教訓話ととればね。
   でも、これはくるり太郎になったつもりで、
   内側から見てほしい話なの。
   くるり太郎の持つ驕りが、
   反感をかって、
   張り紙をされる。
   そのことから、
   怒りが生まれ、
   その怒りからあざけりが生まれ、
   そのあざけりから失敗が生まれた。
   そしてその失敗からまた、
   悔しさ、不満、妬みなどが生まれ、
   不幸を呪うことになる。
   つまり、くるり太郎は、
   負の感情の連鎖にどっぷり浸かって、
   いつも幸せを感じることがない。
   だから性格もますます悪くなるという悪循環。

  くるり
   でも、驕ってる人に忠告したところで、
   反発するだけだし。
  
  とめ
   そうかもね。
   でも、その結果、
   苦しみ続けるのも自分。
   驕りだけでなく、
   負の感情で人の道からはずれる本当の恐ろしさは、
   そこにある。
   自分では気づかないままに、
   不幸な気持ちの渦中に飲み込まれてしまうの。
   常に幸せな気持ちを持っているとめ太郎と比べたら、
   どれだけ損してるか。
  
  くるり
   でも、お話ならそうなるのが定番だけど、
   現実には、くるり太郎みたいなのが出世しちゃって、
   不幸な気持ちどころか、
   得意になって、なお驕り高ぶっている人も、
   たくさんいるよ。
     
  とめ
   それこそ、一番不幸なことじゃないの。
   そもそも、驕るというのは、
   自分に自信がないことの裏返し。
   驕りを生む自信というのは、
   まわりを掘り下げることで、
   自分を高い位置にして得ているだけの、
   空虚な自信にすぎないの。
   おなか茶屋にも、そういう人が来ることがあるよ。
   でも、一緒に来る人たちは、
   その人がいない時は、散々馬鹿にして笑いものにしている。
  
  くるり
   それは悲しいことだね。
       
  とめ
   上げ底の自信だと、
   せっかく掘り下げたところが、埋まってしまうから、
   他人を認められる度量が持てなくなるわけ。
   くるり太郎だって、
   とめ太郎に字を教えてあげる度量があったら、
   知識も生かされたし、
   自分も幸せな心持になれたはずなのに、
   それを見下すためだけに使ってしまった。

  くるり
   教えてあげたとしても、
   見下すために使うと思うよ。
   「こんなのも覚えられないのか」って。
  
  とめ
   驕りがあればね。
   もしその張り紙が、
   よその国の字で書いてあったとしたら、
   くるり太郎だって、とめ太郎と同じ状態になることにも思い至らない、
   実に浅はかな驕りだけどね。 

  くるり
   外国の字で書いてあったら、
   私だって、とめ太郎と同じだ。
   アホだの馬鹿だのと書いてあっても、
   珍しい文字だから飾っておこうって喜ぶよ、きっと。
   でも、字の意味を知ってしまったら、
   隣の家に張る。
    
  とめ
   それって、さっき批難していたくるり太郎と、
   まるっきり同じですけど。   
   ともかく、狭い視野で自分が優秀だと思い上がるのは、
   自信のなさ。
   一方のとめ太郎が、
   自分の境遇を嘆くこともなく、
   事実をありのままに受け入れて、
   自分は馬鹿だとあっけらかんと言えるのは、
   驕りとは無縁の本物の自信が備わっているから。
   自分を信じられる人間の強さ。
   だから、怒る必要がない。
    
  くるり
   とめ太郎みたいに、知識がないだけの頭の悪さは、
   機会を与えてあげれば解決できるけど、
   くるり太郎みたいな、
   人間的な頭の悪さを治すのは大変だね。
   でも、この紙を最初に張った人も、
   相当驕ってる人だよ。  
  
  とめ
   くるりさんも、なかなか馬鹿とは言い切れないね。
    
  くるり
   言い切ってくださる必要はありませんから。
    
  とめ
   確かに、
   こんな紙を人の家に張るようなことをする人も、
   同じように不幸な感情しか持てない、驕りのある人。
   自分のほうがまともと思ってるけど、
   実際は張ることで憂さを晴らしただけ。
   しかも、それで負の感情から抜け出られるかといえば、
   そんなことはない。
    
  くるり
   でも、そういう感情を引き寄せたのも、
   くるり太郎の驕りでしょ。
   
  とめ
   自分に驕りがあるから、    
   驕りのある人の負の感情も、
   簡単に引き継いでしまうのよね。
   対して、驕りのないとめ太郎は、
   受けても自然に断ち切ってる。
   最初から、負の感情を受け取れる部分がないのよ。
    
  くるり
   うらやましい人だねえ。
   張り紙を見て、
   馬鹿にされたと怒るのと、
   そのとおりだと笑えるのでは、
   気分は全然違うもんね。
   そう考えると、
   気分を害されたと思って腹をたてることでも、
   正確には、自分で害させてる部分がかなりあるのかもね。
    
  とめ
   そこまでわかれば、
   くるりさんも、見えてこない?
   馬鹿だと言われて、
   名前を入れ替えろだの、
   言い切る必要はないだのと、
   それを拒否している自分も、
   それだけ驕りがあって、
   自信がないところがあるって。
   なぜ、そうだねって笑い飛ばせないんだろうって。
   自信がないから、
   図星をさされて反発という防御になってしまうのよ。
  
  くるり
   理屈ではわかるけど、
   馬鹿扱いされたら、
   おもしろくないのが普通の人間だよ。
    
  とめ
   それには
   もう一つの理由もあって、
   負の感情が心にひっかかりやすいのは、
   人間は、それだけ悪い感情に敏感だってことよ。
   でもそれは、受けとるためではなくて、
   これを受けたら、負の気持ちの連鎖に入り込んでしまうという、
   警告のためなんだよ。
   その時に、
   驕りがあったり自信がなかったりすると、
   簡単に踏み込んでしまい、
   一気に吸い込まれてしまうの。
    
  くるり
   結局、そこへ戻るのか。
   では今日から、私は馬鹿だと素直に認めよう。
   実際、とめ太郎には足元にも及ばない馬鹿だし、
   くるり太郎と比べても、頭脳的には馬鹿だもんね。
   あ、そう思ったら、なんか心安らかになってきた。
   もう、馬鹿といわれても、全然平気。
   このくるり、一つ悟れました。

  とめ
   ほんと?
   ばーか、ばーか、くるりのばーか。

  くるり
   ばかというほうが、ばかなんだよー。
   
  とめ
   悟ったというより、子供のけんかみたいなんですけど。

  くるり、
   くるり太郎も、こういう心境でいたら、優秀な切れ者でいられたのに、
   ぷっつんのほうの切れ者に成り果ててしまって、お気の毒に。
    
  とめ
   切れる頭も、
   鼻にかけたらおしまいよ。
       
  くるり
   え?くるり太郎って、頭も切れるの?
   しかも、その切った頭を鼻にかけることもできるの?
   どうやって?
    
  とめ
   くるりさんって、まともなこと言ってるかと思うと、
   こうして突然、馬鹿なことを本気で言い出すのよね。
   やっぱりくるりさんは、まれに見る切れ者だわ。
   思考力が突然切れて、
   どう出てくるか、凡人には見当もつかないんだもの。


   

   
 (発行マガジンより、若干手直しして本文のみ掲載しております。)


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